
私が中国武術に憧れ始めたのはまだ10歳の頃、当時はまだ剣道少年で小学生でした。
武術への興味は小学校に上がる前だったのかも知れません。当時は空手ブームだったところから1974年頃からブルース・リーブームに移行し始めた時でGメン75というドラマで香港カラテシリーズという回を楽しみにしてよく見ていました。
(ジャッキー・チェンや李連傑:ジェット・リーはこの頃にはまだ世に出て名を知られていませんでした)
それからとにかく独学でも学ぼうと考え何やら姉が武術の本を入手してきて、その本を見て練習をしていました。
正式に中国武術世界へ入ったのは1982年。
この頃から1986年ぐらいまでは当時は月刊誌も2社発行をしていて日本国内での中国武術ブームがとても大きかった時代でした。
1990年以降からは少し下火になり、テコンドーの人気が出て、そしてプロレス、総合格闘技、そしてサッカーへと人気が移っていきました。
私自身としては武術競技選手だけでなく、指導者の道を歩むようになり、そして養生の方に力を入れていくようになり、そこからは伝統中国思想哲学、伝統中国医学へと進むようになりました。
2001年にフィットネスの仕事を委託する組織として横浜武術院を創設し、中国への往来にて現地での研究と技能の習得、そしてそれを日本版にアレンジしてのプログラム化を図ってきました。
フィットネス業界は元々は米国式スタイルの業界なので、競争も激しく、マンネリ化してメンバー会員の皆さんに興味をもたれなくなった時点でその淘汰を受けるので、とても研究と実践は大事な感覚でした。
しかしそうした中で仕事ができるので、当然に工夫に工夫を重ねられるようになって、いい刺激を受けられて良かったと思っています。
現在はこの世界でもベテランになったので、レッスンは自身でも毎日が楽しいです。
最近は人がその場にいれば絶対にいいかたちで仕事ができる能力と自信が着きました。
現在は量より「質」を最重視する、という私自身の感覚もあって、ひとつひとつの指導の質を絶対に落としたくない、という理由で、スケジュール的には多くしないようにしています。
これもかつては毎日朝昼晩とレッスンをバンバンやっていて、その感覚から鍛えられたからだと思います。
最近は日本でこの仕事としてやっていて本当に良かったと思う実感が大きくなりました。
先ず自分が少年時代から好きだった中国武術を大人になってでも、毎日そのことばかりの興味を持って生活している、ということ。
2つめはここ数年にあるきっかけから日本医科学を学ぶようになり、日本医学的根拠になっている日本国民のデータ集計からみるデータ分析方法、処方を考えていくという視点を身につけられたことで、
日々あちこちに目にする「生活習慣病」について、非常に詳しくなれたことで、自分のライフワークにもの凄い大きな自信と確信を医学的観点から判ったこと。
3つめはさほど経済的恩恵が大きい仕事ではありませんが、一生涯にずっと日本医学的根拠的確信と伝統中国医学的教養を合わせた考えを持って自身でも皆さんにも役立てられるというものです。
世間には定年までに「いくら貯蓄をしよう」とか、「定年後から平均寿命までの人生にいくらかかるから今から準備しよう」とかいう計画がありますが、
今の時点でもう技能も、教養も、現代日本社会という中での処世術の多くを実際に身につけられたので、そういう計画では先ず何も懸念になる問題も心配になる要素がない、となれた感覚です。
「気付けば時は過ぎていた」
昔は剣道少年で武術に夢を見て、中学から武術界に入り、高校生になって中国上海~安徽省での武術界への直接の仲間入りできて、大学生以後は毎年行き来することをしていて、
そこから武術を仕事にして、更に往来の数が増え、気付けば2014年になっていた。
こんなことを最近よく感じています。
記憶力は今の方が少年時代よりも明晰な気がします。
何故ならこの武術に入ってからというもの毎年においての起きた思い出の出来事ではほぼ全部を思い出せます。
5月に上海で先生とお話しした時も先生も同じですから、武術界というのは面白い世界だと実感します。
それに以前は武術隊へ訓練で学びに来た学生が武術選手になり、武術コーチになり、養生の講師をするようになり、
これからは日本で本格的な武術普及の仕事を行っていくプロデューサーの立場になりました。
一昨年から自身の剣道を復活させて、新しい流儀を創始しましたが、何か伝統日本文化に里帰りした感じで何か大きな安心感を感じます。
昨年に鹿島神宮と香取神宮へ参詣に行った時に「お帰り」といわれたような気がしました。
近頃よく実感するのは、私は伝統日本人の一人として2000年以上続いてきた歴史的な付き合いのある中国へ行き、この時代での文化を学び吸収し続けてきて、
日本人の多くの皆さんに中国に行かなくとも日本国内で中国武術文化を学び、体得できるように、ほぼ知りたい出来事での全部を吸収し、自身の心身のすべてを使って学びとってきた現代的遣唐使としての立場の役割を終えた実感があります。
(※本場中国との交流では「中国」を実際に知りたい方と「中国武術界」で腕試しをしたい皆さんの機会づくり活動になります)
これからは次世代にその遣唐使的立場を任せて、私は日本国内での有意義な仕事を、これからはより大きく充実させていきたいと思っています。