横浜武術院での中国武術段位制の評価基準を紹介致します。

単錬は以下の基準で評され、そして動作用法での対打套路、対戦用法での析招、散招の3つを行います。

中国武術の比賽 套路競技における評分(採点)方法

この方法は本場の中国武術協会の主催する比賽:競技大会などで、 使われている評分(採点)方法で、 (中国では「点」とは言わず○○分というように「分」で表されます) 選手それぞれの持てる力を発揮し演武された技を 武術の基本や攻防技術の完成度合いを評価します。

競技大会では、減点方式だけでなく「加点」方式も加えたりしながら、 全体の見方が偏らないように各チーム監督や代表者たちを加え、 裁判員(審判)と一緒に全体会議を開き、ルールを確認し整備します。 ここではひとつの「基準」をご紹介します

伝統武術競技ルール(2013年版)

採点基準

拳術 器械

配点       採点分類            減点の範囲
6点(動作規格)
       手型 歩型 手法 歩法      軽微0,1 顕著0,2 甚だしい0,3
       身法 腿法
       跳躍 バランス 各種器械操作

2点(発力 協調)
発力の充足 力の使い方の順達度             軽微   0、1~ 0、5
力点の正確さ 手、眼、身、法、歩の協調一致さ      顕著   0、6~ 1、0
動作の鋭敏さ 運動の熟達度 沈着安穏さ         甚だしい 1、0~ 2、0
連貫円滑さ 

2点(精神 リズム)
活力の充満 確立されたリズム               軽微   0、1~ 0、5
風格の突出度 内容の充実 構成の合理性        顕著   0、6~ 1、0
変化の多様性 配置の整合性 意識の集中        甚だしい 1、0~ 2、0
表情の自然さ 適度な速さ

失策による減点基準

審判員が執行

動作の忘却 0、1~0、2 
剣穂・刀彩が身体に巻き付き動作に影響を与える 0、1~0、2
器械が床にぶつかる 0,1~0、2
器械」を落とした 0、4
ラインアウト 0、1~0、2
バランスを崩す 0、2~0、3
床へ倒れてしまった 0、4

審判長が執行

起勢と収勢が違反した 0、1
やり直し 1、0
(途中退場 評価なし) 
時間不足と超過 2秒につき 0、1 太極拳は5秒につき0、1


その他の項目 集 団 対練

        その他               集団
4点

        姿勢の正確さ           姿勢の正確さ 動静の分明 活力の充実
        方法の明確性           技術の熟練度

3点
        発力の順達            武術動作の特徴と風格の突出度
        動作の協調性           内容の突出度
                            包括された基本動作と方法の質

2点
        内容の充実             配合隊列の整然さ 動作の協調一致
        風格の独自性

1点
        精神の集中            構成の妥当性  配置のバランス
        リズムの明確性          図案 陣形


得点配分法

優秀 優勝~3位レベル 
A 9,5~10,00 B 9,00~9,49 C 8,50~8,99

良好 4位~6位
D 8,00~8,49 E 7,50~7,99 F 7,00~7,49

尚可 8位~    
G
6,50~6,99 6,00~6,49 5,00~5,99

減点事項について

服装や飾り物に演武に関する影響
0,1 
時間不足2秒以内
刀彩や剣穂が身体に巻きつき動作に影響を与える 服装あるいは頭につけた飾りなどが落ちたり、地面に着く

器械が地面にぶつかる・触れる 器械から手が外れる 

器械が身体に不用意にぶつかる 器械が曲がったりする変形 

身体の一部がコートの外へ出てしまう

バランス:上体が定まらず揺れ動いてしまう 足の位置が崩れる あるいは 定められずにバウンドをしてしまう

忘却:一動作を忘却してしまった場合

0,2
時間不足4秒以内
バランス:手、肘、膝、足、器械をバランスを崩したために地面に触れてしまった場合

0,3
時間不足10秒以上
器械が折れたりして壊れてしまう 器械を不用意に落としてしまう

転倒:両肩、あるいは両手、頭、体幹、尻もちを不用意にしてしまった場合

対練 集団
揃っていない 0,2減点
途中ケガをしてしまった 0,3減点


採点の全体的な配点基準について

套路競技での採点方法は以下の基準から裁定さ れる。

1.動作規格
競技で行う套路内での全技術動作から各項目に求められる性質の完成度を見る。

技の整合性のために「型」と「方法」が適確かどうかを評する。
「手型」「歩型」「身法」「歩法」「器械操作方法」など。
一つ一つを全てを減点することはなく、多く出てきても0.3を越えることはない。

2.勁力 協調性
各武術項目の技術動作の実際の身体表現能力を評する。

勁力・功力がその用法に則り手の先、足の先まで到達しているかを見る。
上下左右のバランス、眼の動きと技術(器械操作)との合致、巧みに行われているかをここで採点する。

3 .精神 リズム 内容 風格 技の結合 布局

精神:演じる者の内在意識表現を見る。
リズム:動作の中での時間的変化 動~静 快~慢 など。
風格:各武術項目の特徴と風貌の現れを見る。
技の結合:動作と動作のつながりが滑らかで巧妙かつ 起伏、自由自在な変転を見る。

布局:それぞれの武術項目における空間的変化
コート内の場所の使い方で、それは武術的行動範囲を評する。
空間の滞在部分を駆使し理に適い、バランスがとれ 変幻自在さを見る。
(逆にいえば、偏ってはならず、一部分のところだけに留まらないようにする)

4.失誤
動作を途中で頓挫し退場した場合 、動作を忘れてしまった、器械の変形
衣服の乱れ、ふらつく・バランス等を崩す、起~収勢が合致しない、
コートから出てしまう、時間不足など。
参考基準(本場中国ルール基準)

6点以下
動作は規格に合っておらず、用いる技がだらしなく感じる。
未熟さが目立ちひとりで完成させることができない。

6~6.9
動作に大きな誤りはないが、方法も基本的には沿っているが 何か不安を
抱いているように感じ、動作は時々合っていない。一応通すことはできる。

7~7.9
動作は比較的ルールに合っている。技もきれいに忘れることなく、
套路を演じている。

8~8.9
動作はルールに正しく、方法もよく 力はよく届き
手と眼と身法(器械)が整っていて完成度は高い。

9.0~
武術動作は規範に正しく、用いられる技の数々が清々しさをも感じる。
力は届くべき場所へ到達していて、リズムも滑らかで動きははっきりしている。
手や眼の動きと身体(器械)の使い方はピタリとまとまり よく練られた技が
その套路を完成させている。