香港の大会から帰ってきて1週間。

私の崇敬する弘法大師空海の言葉に「虚しく往きて、満ちて還る」

そのものを実感し充実した1週間でした。

本当の「武術」を身体で知っている人は解っていることです。

苦労に苦労を重ね、無理に無理を重ね、誰にも知られぬところで大量の汗を流し練功を重ね、

技の不本意さや、怪我にも泣かされ、血を流すこともあるし、悔し涙を流すことも普通です。

ここ10数年、日本でも中国でもそうですが、便利になって、

トレーニングシステムも気軽に入手できるし、いろいろと簡単に何でも情報は手に入る、そんな時代。

しかしながら、経験的実感から思うことは武術に限らず、芸事は人間、本当に生命を削って寿命を縮めるようなことでもやってきた人間が一番強いし、輝きを放つ、ということです。

テクニック重視、エスカレーター仕事なんか、この武術界では無意味に近いと思います。

そんなことを大会期間中に、リアルタイムの変遷で教え子や仲間の皆さんで一緒に実感できた時間を共有できたことは感謝だと思います。

歴史的にも多くあり、現代日本社会での世の中でも、人知られずに「風向き」が変わり流れが一変することがあります。

世に知られていた有名な会社が倒産し、一晩で株券がただの価値のない紙切れ一枚になる時。

名を知られた俳優や女優が一晩のスキャンダルで失脚に追い込まれる時。

政権与党が大敗し、野党が与党になる時。

そしてまた与党が大敗し、野党が与党に返り咲いた時。

看板を上げるのは一生、看板を落とすのは一瞬。


今、これから武術界において世界・国際的にも大きな影響を与えるムーブメントが動き始めています。

それが「中国武術段位制」の新教程。

中国武術段位制 新聞発布会(2013年8月6日)

何が何だか解らない方に解説をします。

1、中国武術段位国際考試(国際段位制)を受験する者は、必ず「中国武術段位制系列教程」の規定套路の中から一項目。三段から六段まで受験する者は自選項目を一つ行う。

a、規定套路:中国武術制系列教程:長拳、少林拳、陳式、楊式、和式、武式、呉式、孫式、各式太極拳、形意拳、八卦掌、通臂拳、戳脚、翻子拳、八極拳、蟷螂拳、五祖拳、詠春拳、剣術、短棍、二節棍、自衛防身術、武術功法(散打:別枠で考試)

以上22項目の中から単練套路、対打套路、析招の3種を行えるようになること。試験では単練套路と対打套路が必須。

1、は何を言っているか、というのは原則一段から受け、二段までは規定套路17拳種からでの単練套路、対打套路、析招の3種の規定ができなければ何も評価を認められる立場にない、という規定が完全に決まったということです。

つまりは日本国内の状況で言えば、旧套考で三段教程であった「楊式24式太極拳」オンリーと「初級長拳一、二、三路:旧段位1~3段」はその「お役御免」となり、

新教程では原則として一段から規定套路で受けなければならない状況で、

そして最低でも規定での一段・二段での単練套路と対打套路を経て合格点を取らなければならないのです。

そして三段の規定をこなしてから、初めて自分の得意套路:自選による示範が認められるので、それを経なければ何も評価をされない=評価対象外、ということです。

ですから所謂、制定太極拳24式、32式剣、伝統太極拳オンリーでは新規定段位套路をこなし、中国武術理論概論他の理論試験をこなさなければ、

正式な中国武術での国際技能資格の「中国武術段位制」では一段も受からず「前段教程:趣味武術」レベルになる、ということです。

来年2014年は技能資格で漏れてしまう「方々」の「救済策:セーフティネット」としておそらく世界伝統武術節や世界太極拳選手権を企画して「競技スポーツの一項目」としての品質とプライドを保つための大会の開催を企画していくでしょう。

(今大会期間で、何人かと意見交換しましたが、各々の価値観やビジネスライフの感覚で意見が大きく分かれていて大変な状況でもありました)

ですが、チャンスはたくさんあります。

例えば台湾の流派での八極拳や蟷螂拳を習練した方々、伝統太極拳の用法や推手のレベルが高い方々、

通臂拳や戳脚、翻子拳、詠春拳、八卦掌、形意拳、散打でも、一番大事な基本功、技能がしっかりしている方は規定套路では基本動作のレベルで評価をして有能な方々はどんどんと上がっていけるシステムですから、

もう今年の時点で「越段:飛び段」での海外人士での応対措置は終わってしまいましたが、各自の練習で確実にレベルアップが出来て段位は頑張っただけ、上まで上がれるようになれると思います。

つまり「健康太極拳」はそれぞれにそれぞれで、善しであり。

武術段位制で冒頭で言っている通り、階段での「段」

技能での「位置」の「位」

中国国内、世界中での国際武術界での「段位」

「考えて」「評価」する「考評」が動き始めました。


日本人は必須として知っておいて欲しいこと。

中国という国は、昨日の「YES」が今日は「NO」

昨日の「NO」は今日の「YES」

「予定は未定」で「未定は予定」になっている民族性です。

戦いに敗れ、王朝が変われば、前王朝の家族は皆殺し、それが中国の歴史。

中国武術での国際社会で、今は風向きが大きく変わった時。

それを知る知らないは各々のこと・・・