私たちの武術活動の目標としては今年はひとつのスタイルの具体的な確立を目指したいと思います。

養生と健身はもう既に確立をしていますが普及モデルとしての内容を確定したいと思います。

養生部門では入門型は健身気功八段錦、健身気功五禽戯です。気功理論として日本における二十四節気と江戸時代の貝原益軒翁の「養生訓」になります。

そして更に専門としての功法としては導引(養生導引操)と理論として黄帝内経と易経になります。

健身功法部門では伝統華侘五禽戯13式~54式。陳式太極拳、木蘭拳、そして各種太極拳類の器械項目です。

武術健身部門では武術基本功、長拳、南拳、刀剣棍槍、伝統拳術、伝統器械、対練、集体などを練習します。

そして健身部門での能力向上を試してみようという感覚から希望者は「比武」所謂「試合」「競技会」などの参加などは様々交流や発見があるのが良いと思います。

私が思うに勝ち負けだけの試合優先で行うような武術活動はやりません、何故なら常に人と比べて優劣を考えて行動を起こしていくような思想になってしまうと必ずどこかで精神的に偏っていき

公正な社会活動の中でお荷物になってしまう人間を輩出してしまうことをしたくないからです。

今までにそういう人たちを何人か見てきました。

自分だけはいつも優位にいたい、態度や言葉は丁寧に見えても上から目線での誇大自己感覚を持つ人は現代日本社会でかなり多いです。

受験戦争、就職戦争、出世競争を経て常に優位に立とうとして育った人は本当の平等や仁義礼智の精神を持つことはなく、

「自我」の確立ではなく「我執」「利己」中心でしか考えられない「脳」を持つ人間になっているようです。

西洋的、中でもアメリカ的資本主義経済が崩壊し、震災も受け、これからの日本の未来を良くするためには「人」が最も重要になると思います。

今の若い皆さんには旧来モデルを吟味に吟味を重ね調べに調べて欲しいです。

日本の歴史に学び、アジアの歴史から考え、世界の歴史をもう一度見直し、

教科書教育だけの押し付け型、あたかも専脳教育のような箱庭のような歴史認識ではなく広く専門的にも多く学ぶことです。

公正でありかつ民主的な自由主義経済はいつの時代でも発展は可能です。


しかし江戸時代末期の偉大な二宮尊徳翁のいう

「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」というのは真実であり、

祖国の日本精神を失ってからこそ経済的な繁栄というこの数十年の過去を反省する時期でもあると思います。


長くなりましたが、最後は武道。

私たちの「武道」の概念ですが、

古く古代中国にルーツを持つ、「武」という概念は

「戈」という武器を如何に「止」止めるか、という精神を「武」という漢字一字に集約したものです。

それに「道」それぞれの「道」でもあります。


道が集まり、大きな道になっていき、

そこに後代は更に繁栄させられ幸福になっていく「道」でありたいのです。

そういう意味での「武道」

内容では「対抗性項目」といい、自由攻撃、防衛のための技術練習です。

現代日本によくあるような精神衛生や技術内容の不足した状態で目的が曖昧で

単純な発想でのケンカ願望を満たすためのようなものとは一線を画します。


今年は「短兵」の確立を目指し、夏ぐらいから散手技術の確立をしておきたいと思います。

そして「武道」における思想哲学をも重視します。

中国古典での「儒学」「老荘思想」「仏教精神」

三国志、あるいは後漢書東夷伝における「魏志倭人伝」


そして日本思想としては「古事記」世阿弥の「風姿花伝」岡倉天心の「茶の本」新渡戸稲造の「武士道」などを学んで欲しいと思います。


そして実際の関東人気質を学ぶためにも博物館研修も大事に考えています。

初めは国立博物館、そして靖国神社の遊就館、そして鶴岡八幡宮ほか、鎌倉幕府時代の文化気質。

そして鎌倉以前に確立していた関東での古城、小田原城。そして箱根。

それから江戸東京博物館を見学すれば自ずと「日本人とは何か」が解ります。

そして中国大陸での研修や競技大会などで本場の中国武術を五感を通じた感覚から理解して体で知っておいて欲しいと思います。

できれば中国での歴史教育ではどのようにアジアの歴史を認識しているかを知り、感情論にならず冷静に学び未来を考えるヒントにしていくことも大事だと思います。

歴史は過去に学びます、しかしずっと過去に生きるのではなく、そこから「現在」を知り、未来を良くするために努力していく。

そしていつか100年後以降にもう自身がこの世にいなくても「道」が残っていたら嬉しいな、そんなことを思っています。

昨年はずっと自身のルーツを調べ今までと今、そしてこれからに「夢」を想います。