この10年間はとても多く学ぶことがありました。

それは武術の歴史的にみる動作の流れや技芸の方法、活動の在り方などです。

日本での武術普及の先駆けは、1974年頃のブルース・リーブームから始まり、そしてGメン75・・香港カラテシリーズ(今から思えばちょっと意味が??)

カラテブームと連動して沖縄空手のルーツ深訪から福建南拳へのアプローチや中国武術代表団の日本公演があり、

1980年前半のカンフー映画ブーム全盛期があり(この頃は深夜も含めて毎日テレビでやっていました)映画少林寺の大ヒットがありました(この時にはもう武術を始めていて中2の秋でした)

そして月刊空手道の別冊で出た福昌堂の雑誌「武術:うーしゅう」の存在は大きかったと思います。

そして福昌堂と大阪や東京の中国武術団体や太極拳協会関連組織が中心になり

大会実行委員会を作り大阪で1984年に開催された「第一回中国武術・太極拳表演大会」がありました。

私はこの第一回大会に東京から出場しました。それから26年が過ぎて今現在があります。

今でもそのまま大会で頑張っている素晴らしい方々もあるし、若き最新ルールでの競技もあります。

審判員になった人も運営に携わっている人もいます。


それぞれに生き方はそれぞれあります。

「これだけが正しい」とは一概に言える世界ではありません。


今自分が思うことは来月の9月で武術を始めてから満28周年を迎えます。

3年前には25周年を記念して伝統華侘五禽戯の故郷を訪ねて学び、

またそこから大きな発見と武術運動のルーツである身体操作方法の重要な意味と理由が解明できました。

明後日から香港の大会に出場するために出かけます。

当然のことながら本場中国はもちろん数千年間の歴史があり、

香港、台湾や東南アジアでも武術活動は数百年の歴史があります。


自分がこの10年近く、国際大会などへ赴く時は成績を狙うだけで行くのではなく、

多くの参加チームの練習やスタイル、雰囲気、大会運営、開催地の普及の度合いなどの視察も兼ねています。


日本はこの30年間の間で確かに一部の競技ルールの中では本場のレベルに技術的に追いつけたことは大きな努力の賜物だと思います。

しかし普通の日常生活面とか武術活動を考えれば、真の普及などでは

まだまだもっと真剣な反省と実践が全体的に必要だと考えています。


ラジオ体操、そしてエアロビックダンスやヨガ、あるいはカンフー系のエクササイズでも頑張っているところはたくさんあります。

東南アジアやロシア、ヨーロッパ諸国などの世界中での武術の日常生活的な面での広まりは

とても目覚しく、日本だけ何故か今一つの状況を見ていると、

ここからまだ新たな構想から進めていけるヒントを見つけられます。


現代日本社会は国内でも大きな問題を抱えています。

年配の方々の多くは時間やお金の余裕もあるけれど、

多くは病気がちで動けない、ゆえに病院での治療や薬が最優先。

中年の人々は朝から晩まで仕事漬けにさせられる生活環境。

若者たちは未来への展望が見えない状況でIT依存やゲームで眼の力が衰えやすく、

音楽も大音量で聞くためか難聴気味、

運動不足が先か、欧米食の採りすぎが原因か

アメリカンスタイルメタボリックシンドロームになり若年性ロコモティブシンドロームを起こすのは時間の問題です。


慌てて短期で何かを身につけ、足りなくなったら補充。新しいものが出たら乗り換える・・

これらが普通になってしまっていますが、

大らかに長く続けられること。


精神と肉体が健全であること。

これが大事なのだと思います。