カンフー 絶技 驚異の中国武術 その2です。

番組では、もう一度河南省に戻り、今度は少林武術学校の取材になりました。

最初に建てた少林武術体校の校長だった梁以全さんが出てきました。


もう75歳になったそうですが、まだまだとても健全な雰囲気が表れていました。

(知っている人は懐かしいと気付きます、思えば83年の時にテレビ取材があり、あれからもう25年ですね)

校長の座は6年前に息子さんに譲ったと番組ではいいました。

(そういえばその息子さんは北京体育学院の卒業生でした・・)

中国では文化大革命の嵐が1960年代に吹き荒れ、


10年間は伝統文化が否定され破壊され武術も行うことができませんでした。

(しかし一部の者は卑屈にも当時の中国政府側へ寝返り、


文革後の毛沢東が推進した現代京劇化路線で新しく作られた体育運動を重視した武術社会(ちょっと捏造もある)の中で出世した者も数多くいます)

梁さんは、その流れに乗らずに、伝統武術を人目につかず鍛錬と普及活動を続け 


文化大革命が終わって1981年に学校を作り、


武術を指導して最初は22人だったところが今や6500人にまでになったといいます。

梁以全さんがこう言いました。

「私の家族は六代にわたって武術をあきらめませんでした。

私もどんなことが起ころうとも学校を続け、国のためにも優秀な武術の人材を育成し続けます」

習武者当立志

人無志事不成

武術を習わんとすれば、志を立てるべし。

志無ければ、事成らず。


そして峨眉派の取材です。

四川省の峨眉派には僧門や岳門、字門や白眉拳などがあり、それらを期待しましたが、ここへ出てきたのは38歳のあるひとりの師範でした。



私の方が年上ですが、印象としては武術家というより観光ビジネスに力を入れる営業マンという感じでした。

報告寺も出てきましたが、他の少林、武当に比べて もう少し取材先も探して(時間が無かったのかな)

王樹田さんや、有名な初代猿王の肖応鵬さんの紹介などがあったら良かったと思います。



武術が最近世界中で広まり、峨眉が乗り遅れまいという姿がやたらと見えていて、


ちょっと武術の本質からずれてしまったようでした。



最後にアメリカから550人が本家少林寺を訪問し交流している模様が映りました。

アメリカのMBA取得者でもある釈永信住職は「少林武術」のグローバルビジネス化に成功した一人でもあります・・


これもまた一つの処世ではありますが、



自分が思うに、武術を通じて学んだこと。

心身ともに健全さを保ち、日々養生し精進する「術」を身につけられる「功夫」を知ることが出来、

悠久の歴史ある精神:思想・哲学と結びついた文化を尊ぶことの素晴らしさを知りました。

その面でも異国の文化を知り、そして自国の文化も改めて見直し 


そこから学んで生かしていくことはとても大事なことだと思っています。

日本は知っての通り島国です。

良い面は国境が海になったおかげで


境における悲しい抗争に直接にはあまり巻き込まれることのない幸運がありました。

しかし外に出ることをあまり好まず、

内向きの面で優しい精神性は良いことも確かにたくさんありますが、

時に意識が、

内向きなこと故に井の中の蛙になったり、


「自分さえ良ければ、それでいい」という小善的な思考に捉われたりする人が出てきます。

あるいは 心身面で悲観的、消極的になり易い面から考えると

広い大陸人の考え方から学ぶことも多くあります。



自分は日本人のライフスタイルに合った形で慌てずに武術文化を ゆっくりと根付かせながら広め、


心身共に健全で丈夫になっていくことを会う人々に伝えていく日々に生き甲斐も感じます。


最後に番組ではこう結んで終わりました。



武術任可一世不用

不可一日不練



武術生涯使うこと無ければ可なり

されど、鍛錬は一日も欠かすべからず。


他深不可測

学無止境



武術の道は深く測れることなく、学ぶことが無くなることはない。