今年は2007年、ふと思い出せば20年前のこと。

1987年の夏に徐文忠老師と楊承冰老師が長期間、

日本に滞在されていて自分は毎日お二人の老師に指導を受け、

共に生活をしていました。


師は技術だけでなく、

生き様や考え方までも教えてくれる存在です。


ある暑い日に練習が終わってから「ボーっ」としていたら

徐老師が、「お前 ここに「とく」って書いてみなさい」と言われました。


「とくは中国語ではdeと発音します」


言われたまま、すかさず「徳」と書きました。

その時、老師は軽く笑ってうなずいていました。


それからしばらくして、あれは何だったのかな と考えてみました。

武術家は様々なところから「人」を試したり、

見ていることに気が付きました。

自分は「すかさず」「徳」と書きましたが、

あれを「考えて」「得」と書けば、

老師は何も教えてくれなかったことでしょう。



「徳」が「得」を持つことはあるが、

その反対の「得」が「徳」を持つことはない、

と言っておられました。


今になって、解ることがたくさんあります。


以前、私もある子に「とく」って書いてみなさい、とやってみたら、

ハイっと元気よく「得」という字を書かれてしまいました(笑)


この話しを一部始終、語りましたが

「ふーん」と簡単に流されてしまいました・・

「行」は続くものです。