イギリスの学校にバレエ留学中の娘は、年が明けて、本格的なオーディションシーズンに突入しています。
学校の先生方のサポートを受けながら、オーディションの申請を送り始めているようです。
まずカンパニーについて調べ、エントリーシートを送って関心を持ってもらえたら連絡が来るという点では、日本の就活と同じようなスタートかなあ~と想像します。
新人ダンサーのオーディションは、「申し込みを100通送って、1割程度インビテーションもらえて、契約オファーが1つあればいい方」とお話しされている方がいらっしゃいました。
もっと打率のいい方もいらっしゃると思いますが、大体こんな見通しを持って挑めば、中々インビテーションもらえなくても、そうか、そんなもんだ、と割り切って頑張れるのではないかと思っています。
さて、来年オーディションの方は、早め早めに、レパートリーとなるクラシックとコンテのバリエーションを早め早めに仕上げて、撮影も進めた方がいいですよ!
実は、これ、娘のケースの反省からです。写真は11月半ばにそろっていたようですが、動画が思ったように撮影が進まなかったようなのです。写真はプロが撮影、動画はクラスメイトどうしで撮り合っているようですが、動画が進まない理由は、「作品選びに手間取った」、「躍り込む時間がない」、「スタジオがなかなか取れない」。
そうこうしているうちに「体調を崩してしばらく踊れなくなった」りもして、そして「クリスマス休暇や年末年始でスタジオが閉まる」・・・、といった状況。
データがそろって、本格的に送り始めようという頃には、送ろうと思っていた合同オーディションの締め切りを過ぎていたとか、登録料の支払いでエラーが出るとか、色々あるみたい。
海外カンパニーのオーディションへの応募は、オンラインフォーム形式となっているところが増えていて、データの添付やリンクの貼り付けなどがあり、それらを英語のインストラクションに従って行います。デジタルまたは英語で戸惑うと、申請ができず、スタートラインに立てない。
そこを何とかクリアして申請できても、インビテーションはなかなかもらえない。巷で聞いていた通りで、やはり厳しい!壁にぶち当たっているようです。
でも、人間、一番成長するのは、壁にぶち当たった時ですからね・・・、痛い思いをしないと人間は学ばない生き物だから、これも有難いことだと思いたいものです。
とはいえ、今、オーディション真っ最中という方、あるいは来年以降にオーディションを受けられる方は、データをしっかり準備し、登録料が必要な合同オーディションなどにも備えて、クレジットカードやPAYPALなど、オンライン支払い環境も整えて、万全な準備の上で挑まれた方がいいと思います!
おそらくこちらを読みに来てくださった方はご存じと思うので、今さらながら、バレエのカンパニーオーディションて、大きく分けて3種あるようです。
◆オープンオーディション◆
◆プライベートオーディション◆
◆合同オーディション◆
【オープンオーディション】
ダンサーを採用することを目的として開催され、バーで落とされるとか、最後まで行ったとか、とよく言われるのは、オープンオーディション(または合同オーディション)のことですよね。
カンパニー付属の学校で入団が決まっていたり、すでにスカウトを受けたりしている場合でなければ、新卒のダンサーの場合、多くはオープンオーディションに参加していく場合が多いのかなと思っています。
直接、たくさんのカンパニーのウェブサイトを探して見ていくのは、いくら時間があっても足りない。というわけで、役立つのがオーディションサイト。
日本国内の情報を中心に、バレエーサーチさんなどにも掲載されています。
各国のカンパニーの主に年間契約についてのオーディション情報を、ポーランドのダンサーさんが取材しているサイトがあります。
また、英語になりますが、色々なオーディションサイトがあるようですね。
https://au-di-tions.com/tag/ballet-audition/
こういったサイトの情報も参考にしつつ、行きたいカンパニーのホームページは直接ちゃんと見て、しっかり読み込んでどんなカンパニーなのかを研究し、オーディション情報が載っていなければ、メールを送って問い合わせるくらいの積極性はあってもいいのでは、と思います。社会人の一歩として。一般企業への就職も、「企業研究」というやつをやりますよね。あれと、同じですよね、「カンパニー研究」、しっかりやった方がいいと思います。
(書きっぷり厳しめでしたら失礼・・・娘はカンパニー研究ちゃんとやってるかしら?という気持ちがつい立ってしまいまして)
どんな監督のカンパニーで、どんなダンサーがいて、どんな振付家のレパートリーがあるのか。自分はその振付家の作品をどれくらい知っているのか。特にヨーロッパは、振付家つながり、とても重要みたいですよ。
なお「就職」と言えるかどうかは別として、ブリッジプログラムに近いインターン的な位置づけなのであれば(無給でレッスン代を支払う場合が多い。国や団によって呼び方など違うが、トレイニープログラムやアプレンティス)、カンパニーの採用よりは受かりやすく、また動画オーディションで合否が決まるケースも少なくないようです。コロナ以降は状況が変わる可能性もありますが。
また、実際に受けた方のお話を参考にすると、急な要員確保のために行われる追加オーディションや、作品出演・プロジェクトのオーディションは、たまたまタイミングがよくビザなどの条件が当てはまっていれば、正規の入団オーディションに比べて受かりやすいようです。
ですので、海外に出たバレエダンサーの初期のキャリアの実態として、すぐにカンパニーの正規入団とはいかずにジュニアバレエ、ポストグラデュエートプログラム、ブリッジプログラムなどに籍を置いて、こういった短期契約作品でキャリアを積むという方も少なくないようです。もちろんこれ、ご縁に左右されそうですし、国によってビザがどうなっているかにも左右されると思われますが。
【プライベートオーディション】
プライベートオーディションは、カンパニーのクラスを受けさせてもらう。すでにプロとして働かれている方は、目指すカンパニーに直接問い合わせて関心があることを伝え、カンパニーのクラスを受けてお互いに雰囲気や意思を確認する、ということをされているようです。
きわめて少数だと思いますが、新人さんでも、学校公演やコンクールでのお声がけがあったり、先生を通してつてがあるカンパニーなどでプライベートオーディション、という場合もあるようですよ。
【合同オーディション】
マスターオーディション(募集終了)、D&Dグランドオーディションなど、海外就職を考えている方は耳にされたことがあるかもしれません。YAGPも、”ジョブフェア”というのをやっています。
このほか、こじんまりとしたワークショップスタイルのものを含めて、近年増えている(?)。
主宰者の元で、複数のカンパニーが参加して行っているので、1回のオーディションで複数のカンパニーの監督などに見てもらえるチャンスがあると言えますが、それだけ参加者、参加希望者も多いようです。
下記の合同オーディションは、まだ募集中です。
◆D&Dグランド・オーディション(3月1日締め切り、3月25日、26日開催地フランス・パリ)
◆ユースアメリカ ジョブフェア (1月15日締め切り、3月4日、5日アメリカ・ナッシュビル)
現在、オーディション活動中のダンサーの皆さん、身体に気を付けて頑張ってください!
代表的なオーディションについて書いてみましたが、実際のところ、採用に至る道のりは皆さん色々みたいで、百人百様といってもよさそうです。なので、自分の道は自分で切り開いていく!くらいの気持ちで挑んだ方がいいのかもしれませんよね。
活動中のお子さんをお持ちの親御様たちは、心配は尽きませんが、若いダンサーたちの挑戦、見守りたいですね😊