木挽町のあだ討ち     永井紗耶子




芝居小屋の立つ木挽町の裏通りで、

美少年菊之助は

父親を殺めた下男を斬り、

みごとに仇討ちを成し遂げた。

二年後、ある若侍が大事件の顛末を

聞きたいと、木挽町を訪れる。



そう、本書は仇討ちの話、父親の仇を江戸で討つ

それも役者みたいな美少年がー


数有る仇討ちで、これ程胸がスッとしたことはない

相手は博徒人、そして父を殺めた奴


仇討ちとは、事前に届け出をし、そして本懐を遂げねば本国帰ることも許されない

討ち果たすことが叶わないと武士の身分を捨てるという、己の生涯を賭けた誓い


武士の一生をかけたものである


木挽町芝居小屋の裏手にて、道行く者の見守る中で美少年菊之助は成し遂げた

そして、本書はその若者が成し遂げた事をある武士が訪ね聞く、芝居小屋で関わった人達に会って事情を聞く場面から始まる


そこは人情深く苦労人が多く自分自身がそうだから、人の苦労もよくわかる人達

皆んな誰かの優しさに触れて、お世話になったり

人の温かさを心の底から知っている人達


人々は美少年菊之助を陰日向なく応援する


なんでこんなに優しく出来るんだろうと思うほどに


本書を読んで、この作家さんのあふれる才能に驚く

最後まで読んで、ただただ言葉に出来ない大感動

途中で気付いた人も居たかもだけど、私は文字を追うのに必死だった


時代小説は何冊が読んだけれど、この方の時代小説の展開は素晴らしい


人としてどうあるべきか、どのように人と接していくか、あっと驚きの展開もあり、それは読んだ人だけが

わかる幸せを感じる瞬間だと思う


誰かに対して親切で優しく、思いやりを持ちたいと思える本です



まだ読んでない方、是非おすすめ!