夜の谷を行く
桐野 夏生
1972年連合赤軍事件、浅間山荘事件、
2011年永田洋子の死、東日本大震災ー、そして啓子の
忘れてたい過去が追いかけてくる
私の記憶にもあの頃起きた事件は鮮烈によみがえる
本書は実在してた人物の名前があちこちに出てる
日本を騒がせた連合赤軍浅間山荘事件、鉄球で山荘を砕き、それがテレビでは永遠と流れ続けた
本書の西田啓子は架空の人かもしれない、いやもしかしたら似たような人が居たかもしれない
連合赤軍事件 大量リンチ殺人に関わった啓子は5年間収監された
その間、実の父親は亡くなり、妹は離婚、母親は啓子が出所してから亡くなった
親戚も離れ、今60代となった啓子はひっそりと1人で暮らしていた
それが、永田洋子の死によって昔の出来事が徐々に思い出される
「同級生の××さんじゃないの?」と見知らぬ人から親しげに声をかけられ、年配になると相手を探る手段としてよく使われる
啓子はそう言う事も全く無視する
出所した仲間は名前を変えたりと、ひっそりと暮らしていた
何故あんな酷い連合に啓子が入ったのか私はわからないが
それが永田洋子の死がきっかけとなり啓子を変えていく
ろくに食べ物もくれず、幹部からの指示は絶対必須で
リンチで大多数亡くなった
本当にむごくて地獄のようだ
その頃の同志の人達の事を啓子は懐かしく思い返す
そんな時、顔も知らないフリーライターの古市から電話があった
ひっそりと目立たず、息をひそめて暮らしている啓子
なのに何処で情報がバレている
ある場面でも
自分が誰にも知られまいと、必死に守ってきたはずの世界に、亀裂が生じたような気がして、啓子は一人うろたえた、とある
私は何が後ろめたいのだろう
何を隠したいのだろう
いや、何も隠したくはない
では、本当のこととは何なのだ
圧巻の最終章、私は息をするのも忘れてた