タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース



窪 美澄





都心の古ぼけた団地で、

姉と2人つつましく暮らすみかげ。

時代の吹き溜まりのような場所で、

明るい未来が思い描けず

「死」に惹かれる彼女の前に

団地警備員を名乗る老人が現れ、

日常は変わり始めていく。



暗い話で、これはこれは相当の覚悟がいるかと思いながら読みはじめた


幼い頃に父親が病死し、母親は男をつくり2人の子供をおいて家を出た

残された姉妹

姉はバイトをしながら、そして夜の仕事へと職を変え

妹との生活を支えていた


状況は最悪


妹はイジメにあい今は夜間の高校に通っている

住んでる団地はかなり古ぼけて、治安も悪い


明るい話題がなく、暗くなる一方と思いきや

妹のみかげがとてもいい子なんです


夜間学校で初めて友達が出来、そして老人ぜんじろう

団地警備員のボランティアに強引にさそわれる


みかげは団地で生まれ、団地で育ち、家族で楽しく暮らす事や、友達の家に遊びに行ったりとか知らない


そんなに彼女が団地警備員のボランティアをしだし、

団地の老人達にふれ、少しずつ変わっていく


実際の年齢より幼ない考えをもつ彼女が、何も知らなかった彼女が、友達とのふれ合いで変わっていく


読み始め当初、幸せにみえなかった彼女が、読後は

輝いてみえた、そんな不思議な本でした