雪国では、春になって解けだした雪の下から、フキノトウやコゴミなどの山菜が顔を出してくるよ。

 

まだ積もっている雪の布団の下から、フキノトウが顔を出すと、春の到来を実感するね。

わしの作品を一つ紹介しよう。

フキノトウは蕗の花茎で、焼くと少し苦みがあるが、酒の肴に絶好だ。

天ぷらにしても美味しいネ。

 

秋田では、フキノトウとは言わず、「バッキャ」または「バッケァ」とか「バッケ」と呼ぶよ。

アイヌ語から来たという説もあるが、フキノトウの小頭花の白い姿を婆さんの白髪に見立てて「うばけや」と言い、それが「ばっけぁ」となったのだという説もあるね。

 

頭花というのは、花軸が短縮して円盤状にひろがり、その上に多数の柄のない花を密につけたもので、タンポポ、ヒマワリなどキク科植物が頭花植物と呼ばれているよ。

 

アイヌ語起源説によると、樺太のアイヌ語では、フキのことを「パㇵカイ」と呼ぶそうだ。

これは、「パッカイ(子供を背負う)」が変化したものとのことじゃ。

秋田では、これが更に変化して「ばっけぁ」になったという説じゃよ。

 

蕗は雌雄異株の植物じゃが、蕗の花であるフキノトウは、雄株、雌株のどちらからも出てくるんだよ。

雄株の花は黄色っぽくて、小さいままで萎んでしまうが、雌株の花は白っぽくて50~80cmほどに伸びるんだよ。


雄株の花には「受粉可能なおしべと受粉不可のめしべ」があり、雌株の花には「受粉不可なおしべと受粉可能なめしべ」があるという、ちょっとややこしい植物だね。


蕗はフキノトウと同じ地下茎から出てくるが、フキノトウが蕗に成長するんじゃないんだよ。

 

蕗と言えば、何といっても秋田が有名だね。

秋田を代表する民謡「秋田音頭」にも、

 

♪コラ 秋田の国では 雨が降っても唐傘などいらぬ

手頃な蕗の葉 サラリとさしかけ サッサと出て行かえ♪

 

と歌われているね。

 

秋田蕗と呼ばれて、葉の直径は1.5mにもなるんだよ。

巨大な浮水葉で知られる「オニバス」の葉の直径は0.3–1.5 m ほどとのことだから、ほぼ同じくらいの大きさだね。

ただ、オニバスは、直径 2.6 m の記録もあるそうだから、負けたかな。

特に寒冷地では家畜が食べないので、牧草地で大繁殖して、畜産農家からは嫌われているそうな。

 

最近は少なくなったようだが、秋田蕗の砂糖漬けは美味しいよね。

熱いお茶でもいいし、ドブロクでもいけるよ。