同じことを際限なく繰り返すことを「いたちごっこ」と言うね。

国会中継を見ていたら、ある事件の証人尋問で、議員が証人に質問し、証人が核心を避けた回答をした。

議員はそれを指摘して、同じ質問をしたが、証人は、また同じ回答に終わった。

これを何度も繰り返しているのを見て、腹が立つよりもあきれてしまったね。

 

堂々巡りで、延々と同じことを繰り返して、一向に埒があかない。

 

余談じゃが、おまえさん、埒(らち)があかないというが、埒ってご存知かな?

競馬場や牧場に設置されている柵を言うんじゃよ。

駅の仕切り柵も埒と言う。

物事の仕切りや境界を明確にするために設置されたものを埒というんじゃ。

 

わしらはいたちごっこを見ているんじゃないんだよ。

 

この「いたちごっこ」という遊び、江戸時代からあったんだね。

AとBが向き合って、両手の掌を下にして差し出し、まずAが「いたちごっこ」と言いながら、右手でBの右手の甲をつまむ。

(B右<A右)

続いて、Bが「いたちごっこ」と言いながら、左手で、今自分の右手の甲をつまんでいるAの右手の甲をつまむ。

(B右<A右<B左)

すると、Aが「いたちごっこ」と言いながら、左手で、今自分の右手の甲をつまんでいるBの左手の甲をつまむ。

(B右<A右<B左<A左)

 

すると、Bが「いたちごっこ」と言いながら、右手で、今自分の左手の甲をつまんでいるBの左手の甲をつまむ。

(A右<B左<A左<B右)

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この動作を、だんだん速めながら繰り返していき、先に間違った方が負けになるんじゃ。

 

ちょこまかと手を動かす動作が、いたちのように見えたから、いたちごっこという名前になったらしいね。

電気も不要で、目も悪くならず、スキンシップもできて、長閑な遊びじゃな。

同じようにちょこまかするので、ねずみごっことも言われるようだね。

 

わしは子供の頃に、飼っていた兎がいたちに襲われて死んでしまったので、いたちは恨んでいたが、もう時効だね。

わしの膝の上であおむけに寝ながら、こたつに入って軽くいびきをかく様子は、兎とは思えないくらい可愛かったよ。

 

いたちも、農地改革で林が失われて、食べ物にも不自由していたんだろうね。