お前さんたち、ギターを弾いたことがあるかね。
わしは、少しかじったことがあるが、ギターを弾く人は必ずと言っていいくらい、「禁じられた遊び」を弾くよね。
正式な曲名は「愛のロマンス(Romance de Amor)」と言うんだが、二つの部分と、それらを繋ぐ部分から構成されている。
最初の部分は、わりに簡単に弾けるが、後半になると指使いが難しくて、投げ出してしまう人が多いんじゃないかな。
この曲は、ルネ・クレマンが1952年に監督した「禁じられた遊び」に採用されて大ブレークしたよね。
フランスのパリ郊外で、ドイツ軍の機銃掃射で両親と愛犬を失ったポーレットが、近くに住むミシェルに、自分の家に誘われる。
死んだ愛犬を埋めて、そこに十字架をたてることを教わったポーレットは、十字架を集めて立てるという遊びに夢中になる。
死者のために用意した十字架や、墓地の十字架が無くなるという事件で、村中が大騒ぎとなり、警察沙汰になってポーレットは連れ去られることになる。
駅の人ごみの中でミシェルの姿を見たように思って、大声で「ミシェール!」と叫ぶラストシーンは感動ものだったね。
この映画でポーレットを演じたブリジット・フォッセー (Brigitte Fossey) は可愛くて上手かったね。
77歳になるが、成人してから、あまり目立たないね。
ところで、この映画で採用されたギター曲 「愛のロマンス」は、1941年のアメリカ映画「血と砂(Blood and Sand)で使われていたんだよ。
この映画は、タイロン・パワー (Tyron Power) とリタ・ヘイワース (Rita Hayworth) の主演だった。
「愛のロマンス」は、スペインの古い民謡をアレンジして、ヴィンセンテ・ゴメス(Vicente Gomez)がギター演奏したものがオリジナル・サウンド・トラックになったんだよ。
後にナルシソ・イエペス(Narciso Yepes)が再アレンジし1952年の映画『禁じられた遊び』の主題曲として使われたんだ。
そういえば、禁じられた遊びの曲がブレークした初期の頃、ヴィセンテ・ゴメスとナルシソ・イエペスの演奏が競っていて、「ゴメスかイエペスか」なんて言っていたことを思い出したよ。