わしは就職してからしばらくの間は、会社の寮に入っていたが、毎年日を決めて夏の寮祭をやったものだよ。
朝から舞台を設営して、人事部長を始めとして会社関係の幹部を招き、歌ったり、踊ったり、寸劇をやったりしながら、酒を飲み、屋台の肴をつまみ、夏の一夜のどんちゃん騒ぎを楽しんだものだよ。
学生時代も、旧制高校時代から存在していた寮のお祭りがあって、これもどんちゃん騒ぎだった。
この寮は、仙台で流行病が見つかったら、保健所が真っ先に消毒に来ると言われていたね。
辞書を見ると、「どんちゃんさわぎ」とは、
「酒を飲み、歌を歌い、楽器を鳴らすなどして大騒ぎをすること。また、その大騒ぎ」
とあり、用例として、
「久しぶりに同級生が集まったんだ、今夜はみんなでどんちゃん騒ぎだ」
と出ているね。
「どんちゃん」の語源は、もと、歌舞伎(かぶき)の下座音楽の一つで、戦乱の場面などに太鼓や銅羅(どら)をドンジャンと打つ遠寄せのことから来ているとの事じゃ。
同義語として、「らんちき騒ぎ(乱痴気騒ぎ)」や、「ばか騒ぎ(馬鹿騒ぎ)」が挙げられているね。
乱痴気や馬鹿よりは、ドンチャンの方が陽気で楽しい気がするが、おまえさん、いかがかな?
「どら」と言えば「どらやき」だよね。
「どらやき」の名は、船が出発する時に鳴らす打楽器の銅鑼(ドラ)に形が似ているためという説や、鉄板の代わりに銅鑼の上で生地を焼いたからという説もあるよね。
源義経が頼朝に追われて奥州へ逃げ、平泉で無念の最期をとげたことは有名だね。
しかし、義経が奥州に銅鑼を残していき、その銅鑼で焼いたのが「銅鑼焼き」の始まりだという伝説があるのをご存知かな?