横浜の桜も、そろそろ終わりだね。

お花見に行くと、若い男女の二人連れ、いわゆるアベックも目につくが、このアベックという言葉は、最近あまり聞かれないね。

デュークエイセスの持ち歌で、昭和42年(1967)年、永六輔作詞の「おさななじみ」

の6番に、

 

♪学校出てから 久し振り

ばったりあったら 二人共

アベック同士の かれ違い

眠れなかった 夜だっけ♪

 

という歌詞があるが、60年近い昔では、アベックという言葉が新鮮だったんだろうね。

 

アベックは、フランス語の「~と一緒に」という意味の ”avec” からきており、英語では “with” に相当するんだね。

これが日本に入って、一組の男女を意味する言葉になったんだ。

いわば、和製フランス語だね。

 

アベックを入れた和製外来語としては、

2人1組で巡回する 「アベックパトロール」 

かつての王・長嶋時代の、2人連続したホームラン 「アベックホームラン」、「アベックホーマー」

などがあるが、中にはジャムとバターを半々に塗った「アベックトースト」なるものもある。

東京の葛西臨海公園にたてられた看板には、

「夜間アベックに対する集団暴行が発生しています。ご注意ください」

と書いてあった。

獅子文六が1950年に書いた「自由学校」の中にも、

「おれは、アベックを見たら、タダで置かねえ男だ」

「じゃア、仕方がねえ。その代り、ちょいと、おれと、アベックしな」

 

などと使われているよ。

 

アベックは高度経済成長期からバブル経済の崩壊期あたりにかけて使われていた言葉で、現在は死語とされているよ。

 

恋人同士を表す言葉として、今は「カップル」が多く使われているね。

「アベック」がフランス語に由来しているのに対して、「カップル」は英語に由来し、本来の英語の “couple” にも「恋人・夫婦」という意味が含まれている。

 

「カップル couple」は「co」+「apere」が短縮したもので、「co」は「一緒」、 「apere」はつなぐ、という意味があり、カップルは「つながって一緒になっているもの」という意味なんだよ。

本来は、一組になった二つ、つまり「一対」を表す言葉なんだね。

 

昭和時代に使われていたのがアベック、平成や令和で使われている言葉がカップルという違いがあるともいえるね。

 

カップルとアベックは、使い方にも違いがあるよ。

 

カップルは同性の恋人を指す言葉としても使われるよ。

 

恋人同士を指す言葉としては、カップルの方が用途が広いといえるだろうね。