昨日の朝日新聞の一面トップに、「日本GDP、4位に転落 円安響きドイツ下回る」という文字が躍っておった。

GDPとは、Gross Domestic Product 日本語で言えば、「国内総生産」だが、これが落ちたことが、そんなに重要な事なのかい?

 

食(ごはん = Gohan)と、衣(Dress)と、住居(Place)のGDPなら重要なことは百も承知だがね。

 

今の政治家も資本主義社会の牽引車であるトップマネージメントも、今より少しでも多くのものが得られることを競い合っている。

 

労働組合は毎年のように賃上げを要求する。

会社側は、まるで、馬車曳き競争で、馬の鼻先に人参をぶら下げたように、賃上げを行って、労働者たちの目を人参に張り付けて、速く走らせようとする。

 

しかし、賃上げが行われても、すぐに物価が上昇して賃上げ分は帳消しになってしまう。

 

昔、チャップリンが作った「偉大なる独裁者」という映画の中で、ヒトラーを想わせるトメニア国の独裁者アデノイド・ヒンケルと、ムッソリーニを想わせるバクテリア国の独裁者ベンツィーノ・ナパロニとが、床屋に入り、お互いに自慢しあいながら、椅子を相手より高くする。

しかし、天井まで届きそうになったところで、椅子が両方とも急降下してしまう、という場面があったね。

これは、物理学ではカタストロフィーと呼ばれる現象で、川の蛇行が激しくなった挙句、川の流れが短絡してしまい、三日月湖が残される、という自然現象にもみられるよね。

経済社会も、資源の保有量を無視して、成長ばかり追い続けると、ある時突然破綻が生じて、カタストロフィーに陥ってしまうと思うよ。

 

昨日の同じ新聞の第三面では、法政大学教授で経済学者の水野和夫さんが、次のように語っていたね。

「…GDP幻想、つまり成長幻想から、もう脱すべきだと思っています。…資本主義は利潤の極大化を目指します。この運動は際限がない。それでも肯定されるのは、国民生活を豊かにすると思われたからです。成長すれば生活水準も上がる、と。でも、そんな時代は終わりました。成長はあくまでも手段のはずなのに、資本の暴走は止まらず、再分配の仕組みは故障し、今や世界の上位1%の富裕層が個人資産の4割を握っている。民主主義も後退し、環境破壊が進み……と、矛盾だらけです。…」

 

まさにその通り、わしと同じ考えの人がいたとは、感激だね。

 

将来の方向を見据えて、資源を温存しながら、本当に困っている人を救うというのが政治の本質であるべきだと思うよ。

しかし今の政治家たちを見ていると、政治のことを勉強してきたのかいと思うような輩が多いね。

 

将来の事はさておいて、一部の富裕層を育て、見かけの繁栄を、さも国民全体の繁栄のように見みせるか、ということを考えとる政治家が多すぎる。

 

政治は、一番船足の遅い船に全体が速度を合わせる護送船団方式であるべきだと思うが、お前さん、どう思うかね。