人生3枚目の自画自賛の写真
2016・5・8~愛媛・八幡浜市~
シャッターを切った瞬間「やった!もらった!!」とニヤついた。道の駅・八幡浜みなっとで開催された「みかんの花 だんだんウォーク2016 in にしうわ」。午後にあった愛の葉ガールズのミニライブの「オレンジモンスター」。一新された振付を初めて観た。2番が終わった後の間奏中、萌景が大きくジャンプすると、空中で体を左にひねった。ファインダー越しに「スゲーッ」と思った。日ごろの運動不足と腰のヘルニアで言うことの聞かない体の自分にとって、14歳の女の子の身体能力にただただ驚いた。
ライブ終了後、撮った写真を確認した。おお、思った以上に高く飛んでいるよ。八幡浜のみかん山をバックに、おへそがチラリの萌景が笑顔でジャンプ。その光景を、ステージ裏の遠くから、お客さんが観ている。思った通りの構図だった。これまで、彼女の写真をおそらく数十万枚と撮ってきたが、自分で納得できるカットは初めて。18年前に初めて一眼レフカメラに触ってから、自画自賛の写真は3枚目だった。
自画自賛1枚目を撮ったのは、大阪の某スポーツ新聞社時代のこと。取材記者から写真記者になって2年目の2008年11月2日、男子ゴルフのマイナビABC選手権最終日。石川遼がプロ転向後初の優勝を逆転で飾った。初めて4日連続で現場に通った大会で、それも注目を集める人気選手が被写体。撮影に失敗したら、デスクにどやされる…。ビクビクしながらシャッターを押していた。優勝インタビュー中、遼くんがうれし涙を流した。
ほおに大きなしずくが流れるシーンだったが、翌日の各紙を読み比べると、他社の紙面には涙がはっきりと写ったカットはどこにもなかった。各社カメラマンがストロボをバシバシたきながら撮っていたが、自分はノーストロボ。光が当たると涙が消えると思ったので、フラッシュなしで撮影したのが功を奏した。プレッシャーのなかでの撮影だったが、この1枚を撮れた喜びで満ちあふれていた。
2枚目は2009年5月1日、スキューバダイビングで訪れたタイ・タオ島。ジンベエザメを見られることで有名なポイント、セイルロックで、この日2本目のダイブだった。水面休息中の船上で、ガイドが「ジンベエがいるぞ」と叫んでいた。ダイバー全員の興奮がMAXに達するなか、いつものようにカメラを持って身を沈めると、すぐ真下に発見!約30分間のジンベエダイブで、世界最大の魚を撮影しまくった。
ジンベエザメは潜ればいつでも会える魚ではなく、何千本潜っても会えないダイバーもいれば、ライセンス取得中に見たというラッキーなダイバーもいる。まさに運任せなのだが、自分は2回目の遭遇だった。お世話になったダイビングショップで開催された「ジンベエ・フォトコンテスト」に応募し「大方洋二賞」を受賞した。尊敬する水中写真家から「完成された作品。被写体や太陽の位置を計算して撮っている。画面構成を含め、すばらしい。プロでもなかなか撮れない」と絶賛されたことがうれしかった。
それから約7年が経った。おそらく何百万回とシャッターを切ってきたが、ようやく人生3回目の自画自賛の写真に出会えた。それも、大好きな女の子が被写体の写真だから、うれしさは格別だ。これは持論だが「いい写真」とは、素人がひと目見て「いいなあ」と思えるものだと思う。これまで数々のプロカメラマンの写真を見てきたが、正直言って、何がいいのか分からないものが多かった。まあ、感性とか知識が乏しいからなんだけどね。トップにある写真は、自分でもいいなあと思えて、納得もいくカット。つまり、自画自賛の写真なのだ。
「サンフレッチェの写真を撮ってこい!」。取材記者として赴任していた広島支局時代、先輩カメラマンに言われ、イヤイヤ始めることになったカメラだが、いまでは自分の体の一部と化している。どこに行くのにも、カメラはいっしょだ。いまでは、仕事以外では愛の葉の写真ばかり。いや、萌景の写真ばかり撮っている。この日ももちろん、萌景に会うために八幡浜へ。みかん山へのウオーキングに出発する参加者を笑顔で見送る姿を収めていた。
初めて見るサイドポニーの髪型で、舌を出しておどける萌景。こんな彼女の笑顔を見るために、そして撮るために、愛の葉のイベントに通っている。いつもたくさんの笑顔を届けてくれて、癒しを与えてくれる。そんな萌景が大好きなのに、自分の表現のしかたがヘタクソで、いつも困らせてばかり…。自分が一番、萌景推し歴が長くて、一番理解してあげていないといけないのに…。ホント、情けなくて、情けなくて、自分が大っ嫌いだ。
萌景、本当にごめんなさい…。