2人目の推し | フーテンの横チン

2人目の推し


2015・10・10~愛媛・今治市~
 ついに、ついに、牙城を崩されてしまった。今治地域地場産業振興センターで開催された「今治せんいまつり」。愛の葉ガールズがライブに出演した。ライブ後にあるチェキタイムで、ある研修生とツーショットを2枚、撮った。その子の名前は大本萌景。ほのかと読む。この夏に加入したばかり。これまで、愛の葉ガールズのメンバーはおろか、ほかのグループの子ともチェキを撮ったことは一度もなかったのだが、我慢し切れなくなってしまった。

 とても魅力的な女の子の1人だ。アイドルの写真を撮り始めて約1年。いろんなイベント現場に通っているが「絵になる子」というのは正直、数えるほどしかいない。愛の葉ガールズもしかり。これまで何度もライブなどでシャッターを切ってきたが、満足できる写真はほとんど撮れていなかった。しかし、彼女がライブで初めて踊っている姿を観て以来、目を離せなくなっていった。

 8月9日の城山公園で開催された松山まつり。ほのかは愛の葉eggすのメンバーとしてステージに上がった。マイクを持たないバックダンサーだったが、青空のなかの太陽のように輝く笑顔でダンスしていたのが印象的だった。あみちゃん(写真右)と同じで、現在は研修生の立場。正規メンバーとは違い、いつもステージに上がれるわけではない。だから、彼女がステージに上がれば、レンズを向ける回数は自然と多くなった。この日は2部制で、2人は1部だけの出演。よけいにシャッターを押す回数は増えた。

 もしかしたら、アイドルになるために生まれてきたのかもしれない。そう大げさに思うくらい、ほのかは期待に応えてくれた。バックダンサーだから前に出てくることも少なく、体全体がきれいにフレームに入ることはめったにない。それでも、レンズを向ければ、彼女は必ずと言っていいほど、目線をくれる。普通の新人なら、ちゃんと踊れるかで頭がいっぱいのはず。それなのに、彼女は最高の笑顔で応えてくれる。数を重ねるごとに、ほのかのことが気になり始めた。

 8月8日、フジグラン松山であった夕涼み会。美紀ちゃんやSACKYたちが浴衣姿でイベントに出演すると聞いて駆けつけた。その時、見たことがない女の子が物販の場所に立っていた。名前を聞くと「ほのかって言います」。まったく物おじしない態度で、ファンの人たちに笑顔で対応していた。高校生かな?そう思っていたら、なんと中学2年の13歳というではないか!マジか??それに「萌景」と書いて、ほのかと読むという。強烈なインパクトがあった。

 愛の葉のイベントでは、ライブだけでなく、ゆるキャラとのショーなども多くある。だから、子どもたちと絡むことも多いのだが、ほのかは何度も回数をこなした経験者であるかのように、子どもたちとふれあっていた。3人きょうだいで、弟がいるからだろうね。接し方をよく知っている。この日の、みきゃんが参加したステージでも「ちびまる子ちゃんの歌」などを、彼女は楽しそうに踊っていた。本当に中2だろうかと疑うぐらい、大人びて見えた。

 1部終了後、ほのかはあみちゃんといっしょに、フジグラン今治での「地産地消フェア」へ。「今治せんいまつり」に移動したきよら、未唯に代わって、県内から出店している各店ブースの手伝いをした。ほとんどのファンが2部のライブ鑑賞をしているため、ファンは2人だけ。自分たちの顔を見るなり、笑顔で手を振ってくれた。2012のゆるキャラグランプリ覇者のバリィさんの商品を手にすると、ほのかは自然にポーズを決めてくれた。

 髪型をアレンジするのが好きなんだろうね。ツインテールをしたり、この日のようにピンクのリボンをつけたり。写真を撮る身としては毎回、違った顔を見せてくれるので、とてもありがたい。でも、何よりもうれしいのは、最高の笑顔。目を細め、歯をむき出しして、鼻にしわが寄るのが分かるほどのギュッとしたスマイル。笑顔が印象的な子といえば、AiCuneのりっちゃんこと加賀山梨紗がすぐに頭に思い浮かぶのだが、彼女以上のものを持っていると思う。

 ほのかと会うのは何度目だろうか。名前も顔も覚えてくれているから、最近では期待以上のことをしてくれる。おそらく、写真を撮られるのが好きなんだろうね。とびっきりの笑顔を浮かべたと思えば、グッとレンズに顔を近づけてきて、おどけた表情で笑う。こういうのを見れば、やっぱり、まだ幼い中学生なんだなってホッとする部分もある。

 この日、ほのかのツメがおしゃれになっていた。オレンジ色や紫色などなど。「見せて」ってリクエストすると、両の手のひらをほっぺにつけた。色とりどりのツメはハロウィンのものかな??そういえば、前日のブログで「手のツメに注目してください」と書いていたな。なるほど、このことだったのね。レンズ越しに見るほのかは、とてもかわいかった。

 再び「今治せんいまつり」の現場へ戻ると、すでにチェキタイムが始まっていた。この日はほのかと美紀ちゃんの2人と撮ると決めていたのだが、最初にほのかと撮りたかった。約半年ぶりのツーショットだったからだ。この時、すでに自分は「ほのか推し」になっていた。彼女の髪を触っていた咲葉良との絡み写真を撮っていると、咲葉良が「横チンはほのかちゃんのことが好きなんでしょ?」とド真ん中直球を投げ込んできた。ズバリ当てられたので返答できずにいると「横チンを見ていたら分かるよ」と。それまで、だれにも公言していなかったけど、バレバレだった。その横にいるほのかを見ると、照れ笑いを投げかけてきた。

 自然な笑顔を見て、推しにするなら、ほのかだなってあらためて思った。簡単に「ほのか推し」になったわけではない。はっきり言うと、推しはもう、つくらないと決めていた。AiCuneの村田和佳音が2月末に卒業。それまでアイドルという存在にはほとんど興味がなかったが、彼女に会って以来、すっかりハマってしまった。もう、和佳音以上の子は現れない。そう思い「永遠の和佳音推し」と決めた。だから、アイドル現場に行っても、全員ショットは撮っても、ツーショットは絶対に撮らない。そう頑なに決めていたのだが、ほのかに出会って以来というもの、その「固い決心」がぐらつき始めた。

 和佳音の時もそうだが、容姿で推しを決めたわけではない。9月6日、フジ垣生店での地産地消フェア。撮った写真を眺めていて、これはうまく書けるなと思い「ほのかのほのぼの日記」なるものを5回に分けて書いた。すると、後日のイベントの際、ほのか本人に「横チンさん、ブログでいっぱい写真を載せてくれて、ありがとうございます。お母さんが読んでいました」と言われた。ただ、自分が好きで書いているだけなのに、まさかお礼を言われるとは思ってもいなかった…。それまで、そんな経験はなかったので、とてもうれしかった。

 そして、前日9日の、ほのかのブログを読むと、4日の「トラックの日ふれあいフェスタ」で彼女が初めてセーラーの衣装を着た時に載せた自分のブログの写真が使われていた。「写真写りの悪い私が、なんかいい感じです。本当に」と喜びのコメントが書かれていた。大人の対応をしたり、子どものように素直に喜んだり。そんな彼女が魅力的に映った。そして、気がつけば、すっかり彼女のファンになっていた。「今治ラーメン」のブースで店員さんと笑顔で話す彼女を見て、この子の存在感の大きさをあらためて感じた。
 念押ししておくが、和佳音から、ほのかに推し変したわけではない。何があっても「永遠の和佳音推し」であることには変わりない。彼女以上の子は現れないと、いまでも思っている。でも、ほのかが気になっていることを自己否定しながら、彼女に会うのはおもしろくない。だから、素直になろうと思った。「本当のほのか推しの人って、いないと思うんですよ…」。ほのかが、ふとつぶやいた。思いがけない言葉を聞いたから、思わず「目の前におるやん」と言ってしまった。すると「横チンさんって、●●さん推しだと思っていた!」と笑った。これまで、ほのかが投げかける「エサ」の下で食おうか、食うまいか、ウロウロしていたが、ついに「釣られた」。2人目の推しができた瞬間だった。