プレイバック・和佳音 30 | フーテンの横チン

プレイバック・和佳音 30


2014・11・3~愛媛・松山市~
 楽しみな祭りがやってきた。松山ロープウェイ街に入ると、いろんな屋台が出ていた。ソーセージやカレーなどなど。朝から、おいしそうなにおいが周囲に漂い、おなかがグーと鳴った。城山門前まつりが開催されていた。学生時代には、毎日のように通っていたロープウェイ街。20年近くの時が流れ、商店はあちこちが変わっていたが、当時のまま残っている店もあった。そのなかのひとつが楽器店。アルバイトで貯めたお金を握って、フォークギターを買った。左利き用のギターで、浜田省吾や福山雅治の曲を練習したなあ。いまでも、そのギターは大切に保管してある。
 その楽器店の前で、AiCuneのミニライブのステージがあった。この日は午前・午後の2部制。思い出深い商店街でのライブかあ。学生時代には、愛媛にアイドルグループなんていなかったから、それだけでも時代の移り変わりを感じられる。さあ、どこで写真を撮ろうかな。いつもなら、和佳音の立ち位置になる向かって右側、つまり上手から撮るのだが…。その定位置に行ってみると、陽光がもろに照りつけていた。いわゆる逆光というやつだった。ライブの開始時間になると、もっときつくなるな…。そう判断し、めったに行かない下手に移動した。
 さあ、SEが響き始めた。楽器店の向こう側から、メンバーの姿が見えた。なんと、白のTシャツに白のホットパンツ。初めて見る組み合わせの衣装だった。いつもなら、かわいらしいパニエだから、ホットパンツはとても新鮮だった。みんなが軽くスキップをしながら、背中を向けて、それぞれの定位置に立った。あちゃ~、予想以上に、メンバーと最前にいるファンとの距離が近い…。肝心の和佳音がセンターに立つひとみんやりっちゃんたちとかぶっていた。場所取り失敗だ…。そう思っていると、最初の曲「ひだまり100%」のイントロが流れた。

 和佳音推しになってからは、ほぼ和佳音を撮ってきた。和佳音単独、あるいは和佳音とほかのメンバーの絡みの写真ばかり。だから、定期公演などでは和佳音のほぼ真正面に座っている。下手から撮るのは初めてのこと。まあ、たまには違った角度から撮るのもいいかなと思っていたが、予想以上に状況は悪かった。ソロパートで最前に出てきた和佳音が自分のレンズに視線を向けた。ファインダー越しに目が合ったのだが、なんだかいつもと違う。笑っていない。「横チン、なんでそんなところにいるの?」と言いたげな、冷たい視線だった。いつもなら、最高の笑顔をくれるのだが、1番の時には一度も「笑顔のレス」を見ることはなかった。
 もしかして、怒っているのかな…。上手から撮ればよかったな…。そう後悔していたが、それはまったくの勘違いだった。2番になると、いつもの和佳音に。相変わらず、ほかのメンバーとかぶりまくってはいたけれど、それでも彼女は自分に向けるレンズに目線をくれた。サビの「好きだって言えない」の指差しの振りつけのところで、ほぼ目線をくれる。個人的に、その振りつけが一番好きで、そのカットがほしくて写真を撮りに行っていると言っても過言ではない。彼女にそのことを言ったことはないけど、知っているかのように目線をくれるのだ。
 下手にいたから、そのカットは撮れなかったけど、いつもとは違った和佳音の表情を収めることができた。個人的な意見だが、目線のある写真は必要ないと思っている。ライブの臨場感を伝えるならば、目線のない、自然な表情のほうがいいからだ。目線のある写真がほしければ、握手会の時に撮ればいい。そう思いつつ、一度も笑顔のレスがなければ、やっぱりさみしい。1部では全5曲を歌った。いつものライブ会場とは違い、祭りに駆けつけた家族連れや高校生たちも鑑賞。なかには、メンバーといっしょに踊っている女子高生もいた。気持ちのいい青空の下でのライブ。和佳音たちメンバーが心から楽しそうに歌っている姿が印象的だった。