プレイバック・和佳音 29
2014・11・2~愛媛・大洲市~
ハンバーガーとフライドポテトを食べながら、窓越しに見慣れぬ風景を見ていた。どんよりとした曇り空。道路沿いの歩道を時々、家族連れが歩いていた。お店の人に聞くと、地域のお祭りがあるという。そんな時、あるファストフード店で昼食を取っていた。少し早く来すぎたかな…。午後2時から、AiCuneのミニライブが愛媛日産大洲店であるので、駆けつけていたのだ。大洲に来るのは8月の花火大会以来だった。ライブ開始までの時間、いろんなことを考えていた。もちろん、和佳音のことがほとんどだった。
アイドル活動と学業の両立。いままで深く考えたことはなかったが、とても難しいことなんだなって思った。10月26日の福角会祭りのライブの後、和佳音が模試を受けていたことを知った。とても驚いたし、感心した。不器用な自分なら、そんなことは到底できないからだ。主な活動は休日だが、平日は学校を終えた後、レッスンをこなしている。まあ、部活動をしている子たちと同じなのだが、夜遅くまでダンスの練習をしていることも知っていた。そのうえで、学生の本分である勉強もおろそかにしない。頑張っている姿を目の当たりにして、和佳音のことがますます好きになっていた。
だから、会いたいと思う気持ちもおのずと募る。本当は午前中の宇和島和霊店でのライブも行きたかったが、足がない。いたしかたなく、大洲店だけの鑑賞に絞ったのだ。開始時間が迫ってきたので、大洲店へ移動。会場にはすでに、多くのファンが駆けつけていた。すでに席が埋まっていたので、上手の窓際から撮影することにした。メンバーは黒のTシャツとパニエで登場。和佳音はポニーテールだった。スタートは新曲「渚のシンパシー」。最初はAiCuneらしくない曲だなあと思っていたけど、聴けば聴くほど、いい曲だと思うようになった。いわば、スルメのように味わい深い。
たぶん、メンバーもそうなんだろうなあ。和佳音たちも歌うごとに、楽しそうにダンスしているように見えてきた。2番を終えた後の間奏部分のダンス。和佳音が笑顔でレンズのほうに視線を向けた。うん、やっぱり楽しそうだ。背景には、子どもたちが描いた絵がたくさん張られていた。なんだかほっこりする空間でのライブだな。この後「恋愛カリキュラム」や「ミズイロの閃光」など全5曲を歌った。定期公演とは違い、約20分と短いミニライブだが、場所が変われば、雰囲気や表情も変わるというもの。和佳音もいつも以上に楽しそうに見えた。
ライブ後の握手会。愛媛日産ではCDを購入しての全員握手会となる。初めてAiCuneのライブを聴いた8月の松山インター店以来だ。でも、心配なことがあった。実は和佳音以外のメンバーと話すのは、松山インター店が最後。卒業公演で空ぽん、りさりさ、うーたんに並んだだけで、ほかの5人とは定期公演後の握手会では1度も並んでいない。だから、何を話せばいいのか分からない。どうしようか、何を話せばいいのか。あれこれ、ずっと考えていたが、何も思いつかなかった。そして、順番が回ってきた。最初はあすみ。とりあえず、あいさつすればいいかな。そう思って前に立つと「あっ、横チンさん!久しぶり!!」という声。びっくりした。
彼女と話すのは2回目。前回は何を話したか全然、覚えていない。たぶん、名前も名乗っていなかった。それなのに、自分の名前を呼んでいる。覚えてくれているの?思わず聞くと「もちろん。定期にも来てくれて、ありがとう」と笑っているではないか。全員握手会では話せる時間が約30秒と短いから、こんな会話しかできなかったが、とてもうれしかった。そして、次は和佳音。いつも通り「ヤッホー、横チン♪」のあいさつで始まった。「あっ、散髪している。寒くないの??」。髪を切っているのに気づいてくれた。うん、いつもこの髪型だから。宇和島にも行きたかったけど、行けなくてごめんね。「いいよ。大洲には観に来てくれているんだから。ありがとね」。あっという間に時間が来てしまった。もっと聞きたいことがあったのに…。
消化不良だったが、和佳音と握手して、次のりっちゃんの前に進んだ。「横チンさ~ん!」。満面の笑みで手を振っているではないか。またまた、びっくした。覚えてくれているの?あすみの時と同じ質問をすると「もちろんですよ」と言う。なんだかテンションが高い。彼女はいろんなことを聞いてきた。「どんなアイドルさんが好きなんですか?」。うーん、AKBをテレビで観るぐらいかなあ。「私もAKBさんが好きです。誰推しですか?」。さっしー。「指原さん、かわいいですよね。私はぱるる推しなんですよ。めっちゃ、かわいいでしょ?」。まさにマシンガン。次々と、言葉が出てきた。いままで分からなかったが、こんなに話し好きなんだな。新たな発見だった。
その後も、ひとみん、きらり、まーちゃんと並んだが、みんなが「横チンさん」と名前を呼んでくれた。最初は不安しかなかった全員握手会だったけど、終わってみれば、満足している自分がいた。9月に初めて定期公演に行って、やさしい笑顔を見て、和佳音推しになった。以降、和佳音としか話していなかったけど、こうやって、ほかのメンバーと話すことで、新鮮な気分になれた。何よりも、全員が自分の名前を覚えてくれていたことが何よりもうれしかった。ただ、和佳音の顔を見たくて、話したくて訪れたミニライブだったが、AiCuneがますます好きになった。帰りの駅へと向かう道中「今度の定期公演では、ほかのメンバーにも並んでみようかな」と考えている自分がいた。