ありがとう。そして、おつかれさま。
2015・9・15~愛媛・松山市~
やっぱりか…。一報を聞いた時、そう思った。nanoCUNEの木下こころの卒業が所属事務所から発表された。数週間前から体調不良で休養中。早期復帰を目指していたが、思うように体調が回復しないことから、ご両親、所属事務所と話し合ったうえで決断したという。15日付でのアイドル卒業。ファンにとっては衝撃の発表だったが、本人が一番、悔しかったに違いない。自分も陰ながら応援していただけに残念だった。
初めて、こころに会ったのは昨年7月の大街道での盆踊り。夜市の風景写真を撮りに行った際、浴衣姿で歩いている彼女を見かけた。あれ、テレビCМで見たことある子だよな。何があるんだろう…。そう思って追いかけたら、大街道の入り口に、舞台が設置されていた。関係者に聞いたら、nanoCUNEとAiCuneが浴衣姿で踊るという。地元アイドルにはまったく知識がなかったから、興味本位で見ていこうと思ったのだ。
あとで分かったことだが、彼女は3姉妹の長女。AiCuneにはきらり、あすみの2人の妹がいた。当時は何も知らない状態で写真を撮っていたのだが、こころの後ろで、なんだか顔が似ている子が踊っているなあと思っていた。定期公演などに行って、いろんな人と話をすることで、こころ、きらり、あすみが姉妹だと知った。ファンの間ではもちろん、木下3姉妹は有名な存在だった。
いま思えば、こころを見かけなければ、和佳音と出会うこともなかったのだ。地元アイドルにはまったくと言っていいほど興味がなかったけど、せっかくの機会だから、できるだけ写真を撮っておこう。そう思って、2つのアイドルグループの写真を撮っている時、笑顔の和佳音を見たのだ。昔、好きだった子にソックリだったこともあり、特に印象に残っていた。気がつけば、こころと和佳音ばかりにレンズを向けていた。
正直に言うと、容姿では和佳音よりも、大人っぽい顔立ちのこころが自分の好みだった。8月中旬、フジグラン松山でのイベント。仕事帰りに駆けつけたのだが、ライブはとうに終わっていた。でも、サイン握手会があるという。CDを購入すれば、4人のメンバーと握手ができるというので、買って列に並んだ。こころの目はまるで女優のようにキラキラしていた。油断をすれば、吸い込まれそうなくらいの輝きだった。まあ、結果的には和佳音推しになるのだが…。
初めてnanoCUNEのライブを撮影したのは昨年10月25日、大街道で開催された「・サイクリングしまなみ・松山サイクルフェスタ」でのミニライブだった。nanoCUNEはライブ会場では撮影NGで、めったに写真を撮れないので、とても楽しみにしていた。ステージに現れた4人。かわいらしい衣装のAiCuneとは違い、黒一色の衣装がとてもカッコいいと思った。
ほかの3人もキレキレのダンスだったし、魅力的だったのだが、髪を下ろして、振り乱しながら踊るこころに、どうしても目線が行った。きれいな顔立ちをしているのに、笑えばモンチッチみたいなかわいい表情になる。それが彼女の魅力のひとつではないかな。表情も豊かだし、写真を撮る身としてはありがたい存在だった。
翌26日の福角会祭り後のサイン握手会が石手川公園であった。所用で遅れていた和佳音を待っている間、こころの列に並んでみた。顔を見るなり「久しぶりだよね。えっと、名前は…」。じらすように、よ…、こ…、と1文字ずつ言うと「横チン!」と思い出してくれた。「横チンって、ナノの定期公演には来たことないよね?どこに行ってるの?」。そう聞かれたので、AiCuneと言うと「誰推し?」。和佳音。「そうか、和佳音ちゃんか。きらりたちもよろしくね。ナノも来てよね!」と強い口調で言われた。ちょっぴりムッとした顔も、かわいいなあと思った。
すっかり和佳音のとりこになっていたから、nanoCUNEのライブに行くことはめったになかったけれど、3姉妹の仲のよさ、きずなの深さをかいま見る機会はあった。昨年11月上旬のAiCune定期公演でのあすみ生誕祭。アンコールで、あすみがソロでnanoCUNEの「碧の世界」を歌っている時、nanoCUNEメンバーがバックダンサーとして姿を見せたのだ。一生懸命に歌う妹を鼓舞するように、こころたちが笑顔で踊っていたのが印象的だった。
そして、アンコール終了後、こころがバースデーケーキを持って登場した。大好きなお姉ちゃんが持ってきてくれたからだろうなあ。あすみは少し照れくさそうに、うれしそうな表情を浮かべていた。そんな顔を見て、こころもなんだか満足そうな表情だった。自分のことのように喜んでいた。
そして、二女・きらりからあすみへの手紙。妹のダメなところを暴露したかと思えば「あっちゃんへのファンの声援が自分のことのようにうれしい」「いっしょに活動できることがうれしい」と感動話を披露。すると、ステージの端に座って見守っていたこころもうれし泣き。姉妹愛、いいなあ。うらやましいなあと思った。
おちゃめな面もチラホラ。昨年11月下旬の「マックル神?文化祭」での一場面。グループそれぞれが手づくりの食べものを販売。時間終了間際に使わなかった材料の「たたき売り」が始まった。きらりが食パンの包装にサインを書いていたところ、背後から近づいてきたこころが邪魔をし始めた。これも一種の姉妹ゲンカなのかな?ほのぼのとした光景を見た気がした。
お姉さんだなあと思ったのが1月の香川・小豆島へのバスツアー。宴会場での夕食の際、隣に座っていたあすみの服を直していた。当時はまだ中学1年生の妹。「ほら、身だしなみはちゃんとしなきゃ」という、こころの声が聞こえそうなシーンだった。お姉さんというよりはお母さんにも見えたかな。
ステージの出しものの終了後、3姉妹がいっしょのテーブルにいた。せっかくだから、姉妹のスリーショットを撮っておきたい。リクエストをすると、みんなが快くポーズを決めてくれた。「アナと雪の女王」のハンス王子役のきらり、オラフ役のあすみとともに写るこころ。こうやって3人を見てみると、こころはやっぱり長女だなって、あらためて思った。
5月の石手川公園でのピクニック。シャボン玉で遊ぶこころがいた。シャボン玉鉄砲?から飛び出す、たくさんのシャボン玉を見つめる彼女をファインダー越しに見ていて「きれいだ…」と感じた。マックル勢のなかでは1番の美人さんだと思っている。この写真、お気に入りのひとつだ。
結果的に、8月の松山堀江港祭り花火大会が、nanoCUNEのライブの撮影した最後の日になってしまった。FRUITPOCHETTEとともにステージへ。おだんごにしたり、ポニーテールだったり。いろんな髪型でダンスするこころを見てきたが、やっぱり下ろしたストレートが一番似合う。あゆちゃんとあやみちゃんがショートカットになっていたから、余計ににそう感じた。躍動感あふれるダンスが好きだった。
こころの卒業を聞いてから、これまで撮ってきた写真を見返してみた。数あるカットを見て、共通しているなと思ったことは「木下こころはアイドルだなあ」ということだった。どんなに激しいダンスをしている時も、笑顔を絶やしていない。ファンあってこそのアイドル・木下こころ。私が楽しくなくっちゃ。おそらく、そんなことを頭に入れて、活動をしてきたんだろうなあ。
先にも言ったが、こころを見かけなければ、和佳音と会うことはなかった。つまらない休日を過ごしていた自分に「アイドルのライブで写真を撮る」「和佳音の写真を撮る」という新たな楽しみをつくるきっかけを与えてくれたのは間違いなく、こころだった。振り返ってみると、街中で一番出会ったアイドルがこころ。プライベートだから、声をかけずに通り過ぎようと思ったこともしばしばだったが、そのたびに「横チン!」と彼女から笑顔を見せてくれた。本当にうれしかった。
彼女と最後に話したのは8月21日、あゆちゃんといっしょに手伝いに来ていた、TSUTAYA三津店でのAiCuneの新曲「渚のシンパシー」のリリイベになってしまった。その時は元気そうな表情だっただけに、今回の体調不良による卒業が残念でならない。唯一、悔いが残るのは、nanoCUNEの定期公演に一度も行かなかったこと。いつでも行けると先延ばしにしていた。こころがいるnanoCUNEのライブはもう見られない…。そう思うと、とてもさみしい。でも、いまの彼女に大切なのは体調を万全にすること。だから、じっくりと治療に専念してほしい。いつか、どこかで、元気なこころに会えたらいいなあ。こころ、いままでありがとう。そして、おつかれさま。














