プレイバック・和佳音 17
2014・9・28~愛媛・松山市~
大人にとっては、年を取るということは、だんだん老いていくと感じるもの。だから、自分の場合、30歳を越えてからは誕生日を迎えても、あまりうれしくない。でも、女子中高生のメンバーたちにとっては、1段ずつ大人の階段を上っていくうれしさと喜びがあるんだろうね。本日の主役のりっちゃんはもちろん、和佳音たちほかの8人も、とても楽しそうだった。MC後の「放課後女子会」「AiCune参上!」と曲を重ねていくにつれて、みんなの笑顔がますますはじけていく。和佳音はいつも以上に目を細め、白い歯を見せながら、元気よく歌っている。心から楽しんでいるように見えた。
これまでの白地にピンクのTシャツとは違って、黒地に緑の生誕Tシャツは写真映えした。表のAiCuneのロゴはとても目立つ。背中の「15」の数字なら、なおさらだ。みんなが一斉に背中を見せると、9つの「15」が並ぶ。とてもそう快だった。こういう機会にしか見られない光景でもあるし、ファインダー越しでも大きく見えた。そんなことを思いつつも、違うことを考えていた。和佳音って、明るい色の衣装よりも、こういう少し暗めの衣装のほうが似合うなあって。彼女はスポーツが得意そうに見えるし、黒のTシャツを身につけていると、なんだかカッコよく映るからだ。アクティブに踊る彼女をレンズで追っていると、余計にそう思えた。
ひと通りの曲を歌い終え、メンバーは一度、舞台裏へ。「りっちゃんコール」が響き渡る中、主役が1人で登場した。なるほど、こういう舞台が用意されているのか。グレーのワンピースで、頭には赤いリボンをつけている。体が小さいから、こういう服装を身にまとうと、まるで小学生のようにも見える。彼女の特徴である、ギュッとした笑顔がたくさん飛び出した。聴いたことがなくて、何ていう曲かは分からなかったけど、楽しそうに歌っている。すると、途中から和佳音たちが登場して、バックでいっしょに踊り始めた。その時の和佳音が、これまた楽しそうだった。見ているこちらがにやけてしまうぐらいの満面の笑顔だった。
りっちゃんがソロで2曲を歌い終えた後「横綱」「キラキラレボリューション」と2曲を全員で歌い上げた。全曲終了後、あいさつをしていると、nanoCUNEの大原歩がバースデーケーキを持って登場した。おそらくサプライズだったんだろうな。うれしさのあまり、りっちゃんの目がみるみると潤んできた。そして、メンバー代表の手紙は和佳音からだった。「梨紗は和佳音が出会った中で、一番の変人だし、一番元気な子で、いつも元気をもらっています」。変人って…。思わず笑ってしまったが、なんとなく分かる気がする。りっちゃんって、いつもメンバーを笑わせようと、おもしろいことを言っているような感じがしたからだ。でも、彼女みたいな存在がいるから、メンバーも楽しい時間を過ごせるんだろうな。
「梨紗がAiCuneのサブリーダーで良かったと思っているし、何よりも生まれてきてくれてありがとうと言いたい」。和佳音の言葉に、感極まったんだろうな。りっちゃんは和佳音に抱きついた。顔をくしゃくしゃにしながら泣いている主役とは対照的に、和佳音は歯をむき出しにして笑っている。本当にうれしそうだ。ほかのメンバーが打ち鳴らしたバズーカ砲状のクラッカーから飛び出したメタルテープを、あすみんたちがりっちゃんの体に巻きつけ始めた。なんだか包帯人間のようになってしまったりっちゃんを、和佳音がとてもやさしい目で見つめていた。ああ、やっぱりいい子だな。そんなことを思う自分がいた。