18年ぶりの涙 | フーテンの横チン

18年ぶりの涙


2015・3・25~愛媛・松山市~
 最後の打者を二ゴロに仕留めた瞬間、エース・亀岡と同じようにガッツポーズをしていた。82年ぶり2度目出場の松山東が強豪・二松学舎大付(東京)を破り、創部123年目でセンバツ初勝利を手にした。オンタイムではラジオ中継を聴き、帰宅後に録画した試合を観た。三塁側アルプススタンドを埋め尽くし、緑色に染め、1球ごとに巻き起こる大応援団の大声援は確実に松山東ナインの背中を押し、そして二松学舎ナインにとっては「10人目の敵」だったに違いない。その事実は映像ではもちろん、ラジオでもしっかりと伝わってきた。
 高校野球を観て泣くのは18年ぶりだった。大阪の新聞社時代、スポーツ記者として高校野球を何度も取材した。1年目の夏の兵庫県予選。あるチームが暴投でサヨナラ負けを喫した。試合後、人目をはばからず、ベンチ裏で大声を上げ、悔し涙を流すエースを見て、思わずもらい泣きしてしまった。いっしょに取材をしていた先輩に見られてしまい「取材中に泣くもんじゃない!記者たるもの、客観的で冷静な視線が必要だ!」と怒られてしまった。
 でも、主観的に見てしまうクセは直らず、以降も話をした選手の所属するチームが敗戦した時には涙ぐんでしまうことは何度かあった。しかしながら、勝ったチームに対して涙ぐむのは人生40年にして初めて!4回、亀岡がお手本のような右打ちで先制。2点目の山田大のスクイズもバント職人・川相(元巨人)顔負けのうまさだった。最終回にエラーをしてしまったけど、8回まで無失策。高校球児らしい、チーム一丸プレーで下馬評を覆す初戦突破に感動したのだ。気持ちよさそうに笑顔で校歌斉唱するナインを見て、また涙。これが母校だったら、ボロ泣きだっただろうな…。