楽しさがさみしさを上回った卒業公演③
2015・2・28~愛媛・松山市~
きれいな涙だった。怒とうの5曲連続で歌った後、和佳音はメンバーと同じ卒業記念Tシャツを着て登場した。そして、メンバー代表で、きらちゃんからの手紙。とても温かかった。ドジで、おっちょこちょいで、チーズを食べるメンバーを怒る話で会場を笑わせる。いつ聞いても、きらちゃんの言葉は自然で、ストレートで、グッと心に伝わる。そして、誰よりも努力家で、自転車で行き帰りして、1人でダンスの練習をしていた話が出ると、和佳音の目から涙があふれた。
バックでKiroroの「Best Friend」が流れる。いつ聴いても涙を誘う曲。ダメだ…。我慢していた涙腺が崩壊してしまった。こぼれ落ちるのはなんとかこらえた。カメラで目を隠した。「さみしいけど、きらりは、AiCuneは、ファンのみなさんは、先輩方は、和佳音を応援しています」。会場からも、すすり泣きが聞こえる。みんなの思いを代弁してくれていた。きらちゃん、ありがとう…。
そして、サプライズとして、5人が和佳音のために歌った。フェアリーズの「エール」。歌詞の中の「君の代わりなんてどこにもいない」「夢は今を置いて逃げたりしない。ありのままそのままで駆け抜けてone for all」。めっちゃ染みる…。和佳音の肩が揺れているのが分かった。メンバーも涙をこらえきれない。どんなに苦しいことも、つらいことも、みんなで乗り越えてきた。6人にしか分からない何かが、みんなの支えだったんだろうね。そんな思いを、この曲で伝えたかったんだろうなあ。
そして「キラキラレボリューション」。6人で歌う、最後の曲になった。和佳音はもちろん、メンバーが目を真っ赤にしながら歌い、踊った。ファンも立ち上がって盛り上げる。そして、メンバーはより一層、大きな歌声とダンスで応える。会場が一体感で包まれた。後方でシャッターを切りながら、和佳音はもちろん、AiCuneがみんなから愛されているんだなって感じた。そう思うと、とてもうれしかった。
最後の「イエ~イ!」と叫びながらのVサイン。右腕を下ろす直前、和佳音が潤んだ目で自分のカメラを見つめてくれた。とても、やさしくて、うれしそうな視線だった。勘違いだと言われてもいい。AiCuneとして最後の公演の、最後の曲の、最後の振りつけの、最後の瞬間で、オレのことを見てくれた。和佳音のことを撮り続けてきて、本当によかったと思った。
「ライブ中に写真を撮られるのは好きじゃない」。昨年12月の握手会で、はっきりと言われた。いつからか、和佳音が自分のカメラをあまり見てくれなくなったので「写真、好きじゃない?」と聞いて、そう言われたのだ。ちょっぴりショックだった。和佳音のことを好きになって、和佳音の表情を撮りたくて、会場に来るようになった。みんなと同じように沸いてほしいんだろうな。そんなことを思いつつ、彼女の意思に反発するように写真を撮り続けた。
「カメラ禁止!」と言われたこともあったし、写真が原因で和佳音を怒らせたこともあった。いろいろあったけど、なんだかんだ言いながら、和佳音はたくさんの笑顔で応えてくれた。いろんな角度から撮りたいから、会場をあちこち動くんだけど、遠くにいればいるほど、和佳音は自分のことを探してくれて、たくさんのレスをくれた。ある日「横チンがどこにいるかなって探しているんだよ。ちゃんと見ているよ」と言われた。涙が出るほどうれしかった。
だから、和佳音の最後の公演は、後悔しないように、しっかりと撮りたい。そう心に決めて会場に来た。お母さんからの、これまでの苦労をねぎらう手紙もあって、和佳音はずっと泣きっぱなし。「本当はAiCuneを辞めたくないし、このまま時が止まってしまえばいいのに…」。泣きながら話す和佳音と同じ思いだった。でも「これからは自分の未来のために頑張る」という言葉に「頑張れ!」と叫んだ。100%とはいえないまでも、納得できるものは撮れたかな。
ライブ後の握手会。長い行列ができて、和佳音だけ1人30秒の制限がついた。最後だから、初めて花束を贈った。スイートピーやガーベラなど、イメージカラーのピンクの花でまとめた。和佳音は「ありがとう!」。喜んでくれた。いままで撮ってきた写真をまとめたアルバムも渡した。短い時間で自分の思いを伝えようと、いろいろと考えてきたんだけど、自分用のアルバムにサインをしてもらっている時「よこやまーるってニックネーム、好きなんだよ」と言われ、うれしくて、すべてが飛んでしまった。
「いままでありがとね。これからも応援しているから」。ありきたりな言葉しか伝えられなかった。最後のツーショットを撮ってもらった後、和佳音は「いままでありがと!またね!」と笑顔を見せてくれた。握手をして、いつもの笑顔で別れた。そして、最後に和佳音と和佳音推しのみんなで記念写真。みんなとハイタッチする和佳音の笑顔がまぶしかった。なんだか、いつも通りの別れみたい。次回も会えるような気がした。だから、この日で最後なのに、最後には思えなかった。でも、これでよかったのかもしれないね。
昨年7月の盆踊りで和佳音を初めて見て、衝撃を受けた。初めて聴いたミニライブ後の握手会で、いきなり「もしかして横チンさんですか?」と名前を当てられて、びっくりした。初めての定期公演で、やさしい笑顔を見て、和佳音推しになった。浴衣姿の和佳音に、本気でホレそうになった。髪型で表情が七変化する和佳音を撮ることに夢中になった。リクエストのポニーテールに応えてくれて興奮した。和佳音に怒られて、病んで、いろいろと考えて、悩んだ。撮った写真を褒められて、いい気になった。文字ではすべてを伝えきれない。感謝してもしきれないものをたくさんもらった。何度も救ってもらった。
出会ってから、たった7カ月あまりだったけど、和佳音推しでよかったと心から思った。涙じゃなく、笑顔で見送れてよかったとも思う。「これからもAiCuneの応援、よろしくお願いします」。和佳音が涙ながらに言った最後の言葉。もちろん、個人推しは永遠に和佳音で変わらないけど、AiCuneは箱推しだから、いままでどおり応援しようと思う。和佳音、楽しい時間をありがとう!また、どこかで会えたらいいな。







