弁当屋のおばちゃんの暴走 | フーテンの横チン

弁当屋のおばちゃんの暴走


2014・7・30~愛媛・松山市~
 本当は自炊をしたいけど、なんだかめんどうくさい…。そんな時、いつも会社帰りに弁当を買って帰る。週に1回は必ず寄っている弁当屋。おばちゃんが親子連れのお客さんとおしゃべりしていた。その2人が家路に向かった後、店頭へ。何にしようかなあ。いつも、からあげ弁当だし、たまには野菜炒めとかサケにしようか…。う~ん…。チキン南蛮もいいなあ。う~ん…。優柔不断なオッサンが悩んでいる間、おばちゃんはボウルの中のからあげの種を油の中に投入していた。電話予約の分だろうか。横目で見つつ、悩み続けた後、野菜炒めの大盛りと告げると、おばちゃんが驚いた顔を見せた。「えっ?からあげと違うん?」。えっ??つまり、オッサン用のからあげを揚げていたのだ。
 まあ、そう思われてもしかたない事情は確かにある。昨秋に初めて訪れ、からあげ弁当を購入したのが始まり。たった1度だけサケ弁当を買ったことがあるのみで、ほかは全部、からあげ弁当だ。しばらく経ってからは手で山の形を描くだけで、おばちゃんは「からあげの大盛りね」と理解してくれるように。時には、オッサンの顔を見て「はい、はい」とうなずくだけで、数分後には袋に入ったからあげ弁当が出てくる。よく言えば、以心伝心。でも、行き過ぎると、この日のように困った事態になる。
 「あれ~、きょうは違うの?兄ちゃん、何弁当?野菜炒め??」。おばちゃんが再度、聞いてきた。いいよ、それ、ボクの分なんでしょ?いつものからあげ大盛りで。「はいはい、からあげね」。そう言うと、おばちゃんはまた油の前に戻った。本当はキャベツを食いたかったんだけどなあ。心の中でぼやいても後の祭り。「はい、お待たせ」と弁当を渡された。そんなこんなで、オッサンの晩メシは半ば強制的にからあげ弁当になってしまった。いつもは何も言わなくても自動的に出てくるのはありがたいんだけど…。初めて見た、おばちゃんの「暴走劇」だった…。