空と海と棚田、時々、列車 | フーテンの横チン

空と海と棚田、時々、列車


2014・5・31~愛媛・伊予市~
 空、海、列車、そして季節を感じるもの。好きな被写体がひとつのフレームにいくつも入っている。これほど、写真を撮っていて、うれしいことはない。JR伊予上灘駅からゆっくり歩いて約40分。本谷の棚田にやってきた。田植えはすでに終わっていて、苗はもうすぐやってくる夏に向けてスクスクと成長していた。双海といえば、視界全体に青い海を望める風景がたくさんあることで有名な場所。かつて「日本一海に近い駅」と呼ばれたJR下灘駅もそのひとつだ。この棚田からも海を見渡すことができた。
 残念ながら、黄砂の関係で白んでいて、水平線をはっきりと確認することができなかったけど、やっぱり晴天の下で眺める海は最高だね。顔がジリジリと焦げていくのも感じながら、しばらくボーっとしていると、かすかにガタンゴトンという音が聞こえた。大洲・長浜方面から、鈍行列車がやってきた。う~ん、のどかだねえ。日本の原風景。日本人でよかったと思う瞬間でもある。 

 どれだけ海に近いのか。畦道を歩いて海の方へ歩いてみた。農家の方が田んぼの手入れをしている向こうで、おそらく釣りを楽しんでいる船が浮かんでいる。やっぱり近い。こんな風景を毎日見られるなんて、ぜいたく。うらやましい!

 田植えが終わった田んぼの端には、もうすぐ収穫されるであろう、はだか麦があった。緑色の苗とは対照的な黄金色。海もいっしょだから、絵になります。

 どこかで花が咲いていないかなと探してみると、一輪のアザミの花を見つけた。鮮やかな紫がとても映えていた。なんだか苗の成長を見守っているような気がした。

 田んぼの中には、たくさんのオタマジャクシが元気に泳いでいた。メイがいたら、満面の笑みで「あ~っ、オジャマタクシだ!!!」と絶叫するんだろうな。そんなことを思い浮かべるだけで楽しくなる。

 双海といえば、夕陽を見ないで帰るわけにはいかない。日はもうすっかり高くなっているので、夕陽が水平線に沈むのは午後7時過ぎ。空が少しずつ赤く染まってきた。でも、やっぱり黄砂の関係で真っ赤にはなりそうもないなあ…。そんなことを考えていると、散歩中のおじさんが「きょうは無理やで。白んどるからな」と声をかけてきた。そうですか…。「すごい時はな、この棚田が真っ赤に染まるんで。海も空もそうやけどな。こればかりはワシらでもめったに見られん。運やな」。でしょうね。予想通り、水平線に沈むころには、夕陽が黄砂にかかって、真っ赤にはならなかった。やっぱり、水平線がはっきりと見える最高の日に見てみたいなあ。こんな絶景、めったに見られないからね。