魅惑の九州ぶらり旅~⑪ハウステンボス・夜編~ | フーテンの横チン

魅惑の九州ぶらり旅~⑪ハウステンボス・夜編~


2014・2・10~長崎・佐世保市~
 陽が沈むと、夢の王国に明かりが灯り始めた。天に向かって伸びるドムトールンも、川を走る船もイルミネーションに加わった。さあ、待ちに待ったナイトショーの幕開けだ。日常生活の中なら、さみしくなるが、この場所にいる限り、心は正反対に動き出す。

 その間、わずか10分。同じ被写体も違って見える。空が青から黒に変わる数分間に見られるマジックアワー。このひと時が幸せだ。隣に誰かがいれば、もっとよかったんだけどなあ。

 再び、アムステルダム広場へ。スタッドハウスも絵になるなあ。感動していると、どんどん人が集まり始めた。そうだ、そうだ。3Dプロジェクションマッピングが始まるんだ。初めて生で見る映像マジックの時間が待ち遠しくてしかたない。昔、ドラえもんの映画が始まるのを心待ちにしているのと同じような感覚だった。空も真っ暗になった。さあ、ショーの始まりだ!

 スタッドハウスの壁に、8人の女性がダンスを踊り始めた。ノリのいい音楽とともに気分もノッてきた。そう思ったのもつかの間、炎に包まれる。そして、カベが真っ青になると…。

 ジョーズの参上だ。一瞬にして、海の中にいるかのような錯覚に陥る。そうこうしているうちに、あの伝説のドラゴンが姿を現した。

 黄金に輝く体をくねらせると、さらに体中から光を放つ。ドラゴンが甦った瞬間だった。地鳴りのような音が響き渡り、約15分のショーが終わった。「すご~い」。いたるところから、感動の言葉が漏れる。同感だった。

 ブラブラしていると、遠くからエレクトリックな音楽が聞こえてきた。パレードが始まっていた。先頭には、LED電球をドレスにつけたお姉さんが手を振っている。う~ん、顔が暗くて、ちょっぴり怖いなあ…。

 しばらくすると、SLの登場。仮面を着けた運転手、後ろには子どもたちが乗っていた。乗りたかったな…。

 ちょっと場所を移動して、白いドレスを身にまとった、きれいなお姉さんを発見。たぶん、昼に見たハウステンボス歌劇団のお姉さんだな。華麗な舞で、観衆を魅了していた。

 お城のような乗り物には、ちゅーりーといっしょに妖精の姿の女性。ああ、そのスティックで魔法をかけてください。永遠に夢の国にいられる魔法を!な~んてね。

 さあ、3Dマッピング第2弾。アムステルダム広場のジパング探偵倶楽部建屋で、題目は「未来への時間旅行」。ジッパーが開くと…。

 彩り豊かな建物が現れた。よく見ていると、後方のドムトールンが同調するように、さまざまな色に変わっていく。王国全体がイルミネーションに参加しているんだな。

 場面は未来に移り、壁面からロボットの登場。くねくねと体を動かすと「僕といっしょに写真を撮ろうよ」としゃべり始めた。約5分のフォトタイム。子どもがうれしそうにカメラにVサインをしていた。家族といっしょで楽しそうだ。
 さあ、急いでスリラーシティへ。3Dマッピングの第3弾が始まる。その前にトイレに行きたいな。どこだ~。辺りを見渡すと、電気がついていない建物を発見。これかな…。少しビクビクしながら入ってみると…。

 ギャーーーーーーーッッッッッッッ!!!!!!!!!!天井から生首が垂れ下がり、壁には赤い血の手形が…。もう、何するんだよ……。こんなオッサンを怖がらせて、どうするんだ。半分ムカムカしながら、外に出た。寿命が10歳縮んだ気分だった。

 ホラータウンらしさを前面に出したイルミネーションの始まりだ。街全体がダンスミュージックに合わせて踊っているかのようなムードだ。そのリズムに合わせて、マッピングも猛スピードで変わっていく。十字架が何度も何度も現れた。

 やっぱり、ドクロがホラーのイメージの最たるものか。目から光を放ちながら再び、姿を消した。そして、辺りが真っ暗になると…。

 突然、カベ全体にクモの巣がかかった。すると、スパイダーマンが登場だ。映画と同じように、またたく間に姿を消してしまった。そして、街全体に響き渡っていた音楽が静かになった。

 その間は5秒もなかった。後方から「さあ、いっしょに踊ろうぜ~!!」。再び、ダンスミュージックが鳴り響いた。すると、若者を中心に、体を揺らし始めた。ステップを合わせるように、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ。その空間にいると、いつまでも終わりが来ないような感覚に陥った。

 オッサンはけん騒を離れて、アートガーデンへ。すると、青い光が波を打つように広がっていた。低い目線で見ても、よく分からん…。高い建物から見たら、すごいんだろうな。

 昼間はなんとなく味気なかった観覧車も、光が灯れば、きれいだ。レインボーのように、七色が観覧車を彩る。夜の観覧車。やっぱり、絵になる。いつまでも見ていたい気分だった。

 21時を過ぎると、次々と観客が家路へと、あるいは宿泊先へと帰っていった。あんなに音楽に満ちあふれていた夢の王国も、いつの間にか、静けさを取り戻していた。ちょっぴり歩き疲れた。ベンチに座って、景色を眺めた。やっぱり、非日常的な空間だ。
 イルミネーションを楽しみにやってきたハウステンボス。でも、朝から回って大正解だった。朝には朝の、昼には昼の楽しみ方がある。もちろん、夜は予想以上に面白かったし、感動がたくさんつまっていた。正直、急ぎ足で回っていたので、全部を見ることができなかった。2日間あれば、100%の満足感に浸れたんだろうな。来てよかった。心から、そう思った。