早すぎたスプリング・カット
2014・2・22~愛媛・松山市~
青空を見たのが勘違いのもとだった。昨年末から続く土曜の歯科通いを終えた後、ちょっぴり心地よい空気を吸った。「そうだ、散髪に行こう」。いつもの理髪店へ向かった。暮れに切って以来だから、2カ月ぐらい伸ばしっぱなしだった。側頭部の髪の毛が耳にかかるのがダメなタイプ。うっとうしくなると、髪の毛を切りに行く。いや、刈りに行く。
通称「ペチャ毛」。直毛とは正反対の髪質で、整髪剤を使って髪を立たせても、10分後には寝てしまう。伸びると、毛がクルクルとカールしはじめる。いくら頑張っても、若かりしころの江口洋介のようにはならない。だから、高校時代から、側頭部と後頭部はバリカン刈り。頭頂部はその時の気候によって、切る長さを決めている。
「もうすぐ、スプリング・カットかなあ」。理髪店の扉を開ける前、そう思った。説明しておこう。スプリング・カットとは、側頭部と後頭部は3ミリの刃でバリカンを入れ、頭頂部は「スポーツ刈りが伸びきったぐらい」。ちなみに、サマー・カットは1ミリか2ミリのバリカンで、頭頂部は「丸刈りが伸びたぐらい」。オータム・カットとウインター・カットは3ミリのバリカンで、頭頂部はその時の気温しだいで「あまり切らないで」。そんな会話を理容師さんと季節ごとに交わしている。
「どうします?」。いつもの理容師さんに聞かれた。そうですね。バリカンは3ミリで、上はどうしようかなあ。「頭頂部は切りながら考えましょうか?」。そうですね。そんな打ち合わせ?をして切り始めた。会話の流れでテレビの話に。自分と同じドラマオタクだと分かって、話が盛り上がった。「ブルーレイはどのメーカーがいいのか?」「昔、地デジを見るために買った同じ型のテレビが、いまは4分の1の値段で売っている。損した…」。そんな話をしながら「もう少し切っていいですよ」と注文。結局、いつものスプリング・カットにしてもらった。
あ~、頭がスッキリ!笑顔で店を出ると、風がピュ~。寒っ!。冷気が側頭部を襲い、体が震えた。急いでニット帽をかぶった。ちと早すぎたか?後悔が頭をよぎったが、まあ、いっか。すぐ伸びるし、まあいいっしょ。そう自分を慰め?ながら、ちょっぴり遅い昼飯を買いに、スーパーマーケットへ向かった。