からあげの誘惑 | フーテンの横チン

からあげの誘惑


2014・1・24~愛媛・松山市~
 家路へと急いでいる時に気がついた。「あっ、昼メシで食ったんだった…。まっ、いいや」。いつもの帰り道にある弁当店で、いつもの弁当を注文した。まじめな話、からあげ弁当しか買ったことがない。「からあげの大盛り!」。このセリフしか、言ったことがない。だって、ひとくち食べただけで、惚れてしまったんだもん。以来、少なくても週に1回は購入して帰っている。
 出会いは昨年10月だった。自炊が面倒な気分だったので、いつもは気になっていながらも通り過ぎていた店のガラス戸を開いた。その時、たまたまスマホの充電がなくなっていて、巨人―広島のクライマックスシリーズの途中経過が分からなかった。からあげ弁当を注文した後、聞いてみた。
 おばちゃん、野球はどうなっとる?「さっきなあ、同点でテレビ中継が終わったんよ」。そうかあ…。「兄ちゃん、どっちのファン?」。もちろん、カープ!「そうか、ウチもや。勝ってほしいねえ」。そやねえ、マエケンに頑張ってほしいなあ。「そやねえ、あの子、男前やけんねえ」…
 結果的に、カープは日本シリーズに進出できなかったが、そんな会話をして以来、おばちゃんのファンにもなって、顔をのぞかせるようになった。もちろん、からあげ弁当がうまかったからだが、おばちゃんと話をしたいのも理由のひとつだ。
 秋には外でできあがるのを待っていたのだが、冬なってからは「兄ちゃん。寒いけん、中に入りいや」と言われるようになった。からあげ男子を夢中にさせる、からあげ弁当とおばちゃん。まあ、2食連続になってしまったけど…、まっ、いいや。