ろうそくが揺らす祈りの灯り | フーテンの横チン

ろうそくが揺らす祈りの灯り


2014・1・1~愛媛・松山市~
 その灯火からは、優しさと強さを感じた。年が明け、四国八十八箇所霊場の第51番札所であり「お大師さん」で有名な石手寺に参拝に訪れた。毎年恒例の「平和万灯会」があり、境内周辺は約5000個のろうそくが暗闇に明るさをもたらし、そして荘厳な雰囲気を醸し出していた。行列をつくっていた参拝客は、その案内役に導かれるように前へと進んでいた。

 地面一面を覆い尽くすような灯りには、お供えした人それぞれの思いが込められている。万灯会は太平洋戦争終結50周年に合わせ、1995年から毎年実施されている。東日本大震災に見舞われた東北地方や、台風30号の被害に見舞われたフィリピンの一日も早い復興を願う花束や石碑。ガラスの容器には「良縁にめぐり会えるように」「家内安全でありますように」「病気が治りますように」などなどの言葉があった。

 「ろうそくの芸術」に、ちょっぴり感動した。最近では、電球やLEDを使ったイルミネーションなどが少なくない。もちろん、このお供えは芸術を表現するためのものではないが、温もりを感じる明るさには、あらためて新鮮さを覚えた。

 小さな子が小さな手で、大きな祈りをしていた。いろんなことがあった2013年。新たな一歩を踏み出した2014年は、どんなことに出会えるのだろう?良いことも、悪いことも、真正面から受け止め、これからの糧にしていきたい。そんな思いを、お大師さんに約束した。