人生初めての経験 | フーテンの横チン

人生初めての経験

2013・10・4~愛媛某所~

 不惑を目前にして初めての経験をした。とは言っても、最悪な経験のほうだ。このブログを書いているいまでも、はらわたが煮えくり返りそうなくらい。食べものが絡んでいるから、余計にムカムカしている。
 おなかを空かせた会社帰り。「何、食おっかな」と考えながら自転車をこいでいて、ずっと気になっていた看板をふと思い出した。長崎生まれの料理。久しく食べていなかったこともあり、すぐに晩飯は決まった。
 いま思い起こせば、嫌な予感はしていた。出入り口ですれ違った、食事を済ませたばかりの男性2人が不満そうな顔をしていたのだ。その時は何とも思わなかったが、店に入った瞬間、その理由はすぐに分かった。僕以外に、客はゼロ。仏塔面の主人は僕の顔をチラ見。「いらっしゃい」のひと言もなく、黙って水の入ったコップを置いた。
 正直、店内はきれいではない。そんなことはどうでもいい。内装がきれいでも、料理がおいしくない店はどこにでもある。もちろん、反対のパターンだって少なくない。後者であることを期待して料理を待っていたが5分後、見事に裏切られた。
 主人は「はい」と、もう少しで落ちそうなくらい、机の端に料理を置いていった。それも、料理の入った器でコップを前に押しながら、だ。文句を言おうと思ったが、やめた。大人げないと思ったからだ。怒りを収めて料理を口にしたものの、すぐにがっかり。「まずい…」。心の中でつぶやいた。正直言って、食えたもんじゃなかった。
 食べものを残すのは僕の主義じゃない。とりあえず全部、平らげた。勘定を済ませようとレジの前に行くと、イスに腰掛けていた主人がめんどうくさそうに立ち上がった。おつりを渡すと、何か用事があったのか、すぐに店の中に引っ込んだ。「ありがとうございました」も言わずに、だ。客商売で一番大事なことをしない…。怒りを通り越して文句を言うのも嫌になり、20分前に出ていった男性客2人と同じような表情を浮かべて店を出た。
 常連客になりたいと思わせてくれる店の条件は何だろうか。人それぞれだろうが、僕の中では①料理のおいしさ②店の雰囲気③店員の愛想の良さ、の3点。その中で、一番重要視するのは③だ。たとえ、料理のうまさが並以下でも、また店が古くても、店員が気持ちのいいあいさつをしてくれたり、笑顔を見せてくれれば「また来よう」と思う。上記の3点の割合は3:2:5。旅行先の料理店でも、③を重視して通っている店はいくつもある。
 はっきり言って、きょう入った店は3つとも当てはまらない。評価0点の「二度と行きたくない店」だ。スマイル無料のファストフード店のほうが何倍も上だ。会社を出る前は「きょうは家で飯をつくる気分じゃない」と思って外食したのに、店を出た時「自炊すればよかった。無駄遣いをした…」と後悔した。
 バイきんぐが絶叫する気持ちが、よ~く分かった。「なんて日だ!!!」