あれから16年…。
2011・1・17~兵庫・神戸市~
あの阪神淡路大震災の発生から、ちょうど16年。神戸市役所そばの東遊園地で開催された「1・17のつどい」に参加した。午前5時46分を伝える時報が鳴り響くと、大勢の遺族や被災者、市民らが「1995 1・17」の形に並べられた約1万本の竹灯ろうを囲んで手を合わせ、黙とうした。運命の時間が近づくと、泣いている人、グッと涙をこらえている人が視界に入った。震災当日、僕は学生で愛媛・松山市に住んでいた。大きな被害はなかったのだが、炎が上がり、建物が倒壊した神戸の街を映し出すテレビニュースを見て、しばらく言葉を失ったのを鮮明に覚えている。家族、友人、知人を一瞬にして亡くし、つらい日々を乗り越えてきた被災者の気持ちを理解することなんて、こんな僕にできるわけがない。でも、ほんの少しでもいいから、鎮魂の祈りをささげることで悲しみ、痛みを分かち合うことができれば…。そんなことを願いながら、これまでも「1・17」を迎えてきた。震災を知らない幼い子どもたちが「祈り」「夢」「希望」などの言葉が書かれた竹灯ろうの前で手を合わせる姿を見て、胸が熱くなった。この事実を決して風化させてはいけないとあらためて感じた。