サンゴの存在価値
2010・5・1~大阪・大阪市~
いまでもポカポカしている。風呂上がりだからじゃない。とってもいい映画を観たから、心がポカポカしている。ナインティナイン・岡村隆史主演の「てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~」。世界で初めて人工の養殖サンゴの移植と産卵に成功した金城浩二さんの自伝をもとにした映画だ。ゴールデンウイーク中とあって、映画館も長蛇の列とごった返していたが、待ったかいがあった。映画を観て、こんな気持ちになったのは本物のサンタクロースを自称する老人を通して、信じることの大切さを伝えた「34丁目の奇跡」(1994年)以来だ。岡村隆史がお笑い芸人であることを忘れさせてくれるほどの演技に引き込まれるとともに、きれいな海を守ることの意味、夢を追い続けることの大切さをあらためて知らされた。はっきり言って、大金を費やして制作された「オー○ャン●」の何十倍も感動した。
これは昨夏、沖縄・瀬底島で撮影したエメラルドグリーンのデバスズメダイの写真。枝サンゴの上で気持ちよさそうに泳いでいた。これぞ沖縄!!と言える光景なのだ。白化やオニヒトデの大量発生などの影響を受けて激減していたサンゴは、いまではガイドさんたちの苦労が実り、海が再生されつつあるのだが、全盛期には程遠い状態。もちろん、主役になる必要性はないのだが、小魚たちの棲家が少なくなっている事実は否めない。「てぃだかんかん」では、自然現象だけでなく、埋め立てなど人間による環境破壊もサンゴ激減の影響であることを訴えているのだ。主人公の健司(岡村)の「サンゴも生きものなんです」といいうセリフには、強烈なメッセージが込められていた。
上の2枚の写真はマレーシア・シパダンで撮影した。フレーム全体がサンゴで埋め尽くされている。この光景を見た時「すごい!!」と叫んだことを鮮明に覚えている。水中写真をやり始めて思うことが多いのだが、どうしても魚や甲殻類などを被写体にしてしまう傾向がある。動くものに目が行ってしまうため、サンゴは脇役になってしまっている。しかし、ここではサンゴが主役。決して、引き立て役に終わってはいない。デバスズメダイなどの小魚も、このサンゴがあるから輝いているのだ。
普天間基地の移転問題で、沖縄などの海が脅かされている。悲しいニュースばかりが流れる時代だからこそ「未来の子どもたちに、すばらしい海を残したい」というメッセージが込められた「てぃだかんかん」の存在価値が高まる。ダイバーはもちろん、ダイバーではない人にも観てほしい作品。この映画を観終わった時「日米の政府関係者が観たら、どう思うだろうか??」と思った。


