う~ん、なんでだろ…。



photo:02








富士五合目の空気はモヤっとしています。







しかし、その自然消滅にはちゃんと理由があった。






それはなぜなのか。




ここに来るまでの話をオマケでしたいと思う。





~~~~~キリトリ~~~~~




私は二度沈黙した。



2013年6月22日、めでたく富士山は世界遺産に登録されたという。





スペインでそれを知った私は、今年登れるもんなら登っときたいと思い、
帰国後、偶然にも意気投合した中山氏と、その夜のどこかでひっそり流れる星もびっくりの早さで予約を取る。






そう…






ほぼ現実化した富士登山に心をじゃんじゃかに踊らせていたわけである。





しかし、日本一のお山を登るという事をなめくさっていてはならない。







登山初心者にして富士山に挑戦する私たちは知識と無駄知識を10:2の割合で十二分に蓄え、スポーツ専門店で必要となるものは買い揃えたわけだ。







わけだ…








……が、現実はそう甘くない。


富士山だって簡単に世界遺産になれたわけではないのだ。






【一度目の沈黙。】



それは登山数日前のこと。






なんとなく早朝のニュースを聞き流していると、らしからぬ言葉が脳みそを突き抜ける。





「大型の台風18号が発生、上陸の恐れがあります。」






私はしばし沈黙した。






………たいふう?








たいふうって、あの天気図で、丸と線で繋いで進路を示すやつかな?

(雨風ざーざーびゅーびゅーなって、お家で待機しなくちゃならなかったり、傘がぺろーんて、有るべき姿ではななくなったり、買い物にも出れない状態になって冷蔵庫の中身…牛乳しかないや、ってなるやつかな?)







それとも私の知らない間に「たい○う」っていう「え?なに?台風?」みたいに聞き間違えちゃうような新しいお天気用語ができたのかな。

(結構日本留守にしてたもんね。)








photo:03







前者であろう。
(後者のわけない。)





その時、日本列島には台風が直撃しようとしていたが、私の心にはそれ以上の不安低気圧が既に上陸し、暴風圏に入っていた。






もしや、登山自体が中止になるのでは…?!










お山の天気は私に負けない程の気分屋だと聞く。






それに加え、たいふーん…?





無言のまま私のとった行動とは


( 富士山 台風 登山 )
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情報収集。






標高3000M越えの台風ってどんな…?←目的違う







実際、過去に登山した時に台風接近している、という方もいらっしゃった。




しかし、この写真から伝わる過酷さは…一体…。












この日の段階ではまだ実行か中止の判断もつかず、前日に問い合わせて聞いてみようと、なった。





【二度目の沈黙】

登山前日のこと。





なんだか
身体の中心部に違和感。
登山前日のこともあり、初診の内科に駆け込み寺。











ブラックチェアに深めに座り込んだ午後のドクターXは、カルテを見つめながら私に告げた。











ドクターX「うーん、急性胃腸炎かなあ~。」






私は終始、沈黙した。








ドクターXの名札には紛れもなく【院長】という肩書きが記されていた。そのたった二文字が貫禄の全てをまとめているようだった。







ドクターX「急性胃腸炎はウイルス性がほとんどだからねえ~、食当たりっぽい最近の食事もないもんな~、とりあえず元気そうだし、お薬で様子みれば大丈夫だよ。」











(ドクター…富士登山しながらの様子見は可能ですか?)←脳内質問






き…きけない…!!!!!






ドクターXは手にしていたカルテを机に優しく放つと話を続ける。




ドクターX「食事はね~、しばらく胃に優しいもの食べてね~、あんまり固形物とか香辛料っぽいものはよしてね~。」





私は淑やかに全ての言葉を受け入れ、処方箋を薬に替えてもらっている間にしばし考える。






ここで三つの選択肢ができる。





A 登山辞退
B 登山中止
C 登山実行







いや、体調はそこまで悪くない。
…もしかしたら明日には治っているのではないか?




そして妄想した。







(きっと前日に登山断念した私は、お家で心なしか冷たい布団に寝込む。そして「あー本当だったら今何合目だろうー」なんて思いながら、ひとりでお粥作りつつ、頬に涙がつたい、鍋に落ちる。ああ、涙の味がちょっとした塩分になるね。)










やかましすぎる。そして切なすぎる。













切なやかましい妄想は続く。




(きっとこの落胆は部屋を歩く私の歩幅さえも狭め、恐らく流れるようにタンスの角に小指を激しくぶつけ、誰に心配される事も、笑われる事もなく、ひとり悲しくもがくことが、
積の山だろう…。)











積の山だろう…。





積の山だろう…。




富士山登ろう…。







という偶然に発生した言葉発想に助けられ、
A【登山辞退】の選択肢は自然消滅し、B【登山中止】かどうかの問い合わせすると、前日の段階ではしないとの判断が下されたらしい。
そして今の所辞退者もいないと言う。















負けてられない。いま私元気。台風はまだ来てない。涙味のお粥食べたくないし、タンスの角に小指ぶつけたくない。







答えはCの【登山実行】だ。




私はスペインの旅でも共にした迷彩リュックに、数ヶ月前と同じように好奇心と理想を詰め染み、装備具を再確認し、ドクターに処方されたお薬をポーチに入れた。









(全力良い子も普通の子も悪い子も真似しないでね…。)










ここまでの方程式は


初富士登山+好奇心+台風接近×急性胃腸炎(x高山病?+y天候により中止?)


=この後も続く壮絶ストーリー










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