私と母は 秋の園庭で
これから始まる遠足の説明を
皆と一緒に受けていた
そこに誰かが砂埃を立てながらが駆け寄り
母に耳打ち
母は私の手を引いてあるき出した
幼稚園の外に父親の車
後部座席にちょこんと乗せられ
ただ なんだか深刻そうな父親と母親の会話を聞いた。

母「ひよこだけでも○○(近所の親戚の女性)に頼んで遠足連れていってもらおうかしら?楽しみにしてたから可哀相・・・。」
父「何言ってるんだ!Tが亡くなったんだぞ!」
私はあまり自己主張する子供ではなかったし 自分は大人のするとおりにしか
出来ないと思ってたし、母の思いやりに反して遠足はたいして楽しみじゃなかった。
そして 大人になって父親の判断に感謝した。
私は生まれてすぐ 母方の祖母に預けられ暮らしたが
そこにいたのがTおばちゃんで ものごころつくまで
優しく 病弱で 色白の
Tおばちゃんの腕の中で毎夜眠り育った。
祖母の家に着くと 寝かされたTおばちゃんの周りに人々が座ってて
枕元で それまで見たこともないような取り乱し方で祖母が泣いていた
正直 まだ死というものがよくわからなかった私は
悲しくてというより 半狂乱の祖母につられてわんわん泣いた。