『楽しさの中でことばを育てるST(言語聴覚士)たつみともこ』のブログへのご訪問ありがとうございます。
もう、15年も前のことになりますが、自閉症の勉強をしたくて、TEACCHプログラムを学びに、アメリカのTEACCHセンターで1か月ほど、研修を受けました。
TEACCHプログラムは1972年以来行われてきた「自閉症スペクトラム(ASD)の人々を生涯支援するプログラム」で、一般社会で生活して行けるように、ゆりかごから墓場まで支援します。成功しているプログラムで世界中の療育関係者が、勉強に来ています。
(1)TEACCHセミナー
①)座学
視覚的な情報を整理して提供することで、状況の理解が難しく混乱してしまう彼らに安心を提供することを目指します。
その整理方法として、以下の4つが基本です。
・物理的構造化 :活動場所の明確化 :活動によってエリアを仕切る、作業する机の周りを衝立などで囲む
・視覚的構造化:コミュニケーションの支援: コミュニケーションを実物、イラスト、写真、文字でサポート
・個別のスケジュール化 これから何をすれば良いかの見通し:予定表をイラスト、文字で分かりやすく示す
・ワークシステム 学習や作業が一人でできるように学習量、何をいつまですれば良いかが分かるようにする
➁グループワーク
実際にASDの子どものために教材を作成し、セッションをしました。そのセッションでお子さんの笑顔が見られれば成功。
私のテーマは「遊び」です。レーンにB玉を転がす遊具、遊び方が一目で分かるように作成しました。その子が遊んでくれるか心配でした。走り回っていた彼に、B玉を渡すと、なんと、彼が、迷わず、作成した遊具まで走って行って、B玉を転がし、最高の笑顔。
(2)TEACCHセンターでの見学
・プレスクール・学校
構造化されていてストレスなく過ごせるように工夫されている
・仕事
知的な遅れを伴うASDの人たち 仕分け、掃除など比較的仕事が見つかりやすい
高機能ASDの人達の中にはあった仕事が見つかりにくい人も、、
・余暇 (ASDの方たちは真面目でやることがないと不安になり、望ましくない行動に走りやすい→余暇の過ごし方は大事)
絵画、スポーツなどを分かりやすく教えている
(3)プログラムへの疑問
研修中このプログラムに関して次のような疑問が浮かびました。
・STとしては、ことばはどの段階で学習させるのかしら??という疑問
また、研修を終り、帰国すると、、
・おかあ様方からはうちの子は話せば分かるのにここまでやる必要があるんですか?
・日本社会は構造化に対する理解がないから、療育で甘やかしてもらっては困る
・幼稚園などではAちゃんだけ特別扱いはできない、、
日本で自分なりにSTとしての取り組み
・幼稚園、保育園、学校で構造化やスケジュールを無理のない範囲で取り入れてもらいました
・ST指導でも取り入れてみました
→特別扱いはできないとおっしゃった先生方も他のお子さんにとっても分かりやすいと、積極的に取り入れて下さるようになりました。
実際、日本も構造化が進んでいる
例えば、最近、スーパーにレジ待ちように線が引かれるようになりました→物理的構造化
シンボルが街のあちこちにみられるようになった →視覚的構造化?
幼稚園や保育園では絵カードを自閉症のお子さんに使ってくれるようになって来ている
結論
最初は何だか特別なやり方で機械的と感じたTEACCHでしたが、背景には、ASDの人の苦手なところをカバーし、安心して生きられるようにしたいという温かい理念があるのだと思います。
誰でも不安な中では新しいことは学べない
安心して学べるため環境の下でこそ、子ども本来の好奇心、学習意欲、お友達との遊びを楽しめる、、
そのために、
TEAACHの考え方・実践はほんとに参考になっています。
そして、
形だけTEACCHをまねるのではなく本質を見失わずに取り入れる事がお子さんの支援につながると思います。
なお、私の実践については、今後、また、投稿して行きます。
もし、TEACCHやSTの内容についてブログで取り上げて欲しいことあれば、コメントを入れて下されば助かります。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
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