Yくんは、現在、特別支援学校3年の自閉症の男の子で、STの指導は3年目になりました。
Yくんにできるようになって欲しいこと
Yくんはまじめな性格で、色を分類したり、ブロックを組み立てたりという作業はすぐに着席して取りくめるようになりました。けれど、課題が終わるごとに席を離れていました。指導を始めた当初は、TEACCHによる2面の構造化で刺激を減らす必要がありました。
日常生活でのことばかけはほとんど理解できます。実際、ST指導の中でも多語文(例えば、ウサギは赤い帽子をかぶっています)も聞いて正しく理解できています。発音できる音は「あ、お、ま、ぱ」などで、言葉では話せません。STでは、Yくんの気持ちを伝える手段を見つけようと、発音の練習以外に手話やマカトンサイン、ひらがな文字やジェスチャーを取り入れて来ました。
指導を始めて変わってきたこと
はじめに、遊びたいおもちゃを指さして選べるようになりました。それまでは、欲しいものがあると、離席して自分で取りに行っていました。
手話やマカトンサイン(サイン)はまねをしようとするようになりました。まねををするようになって、しばらくたつと、絵を見て、サインをするようになりました。まだ、自分の意志を人に伝えるためには使っていません。
ひらがなは、まず、ひらがなで書いた単語を見せると物を示せるようになりました。このころから、絵本や看板に書かれた文字を指さして、文字を繰り返しお母様に読んでもらっていました。ひらがなの単語の理解がかなり進むと、50音表でひらがなを順番に指さして、単語を表せるようになりました。おうちでも50音表をはってもらい辛抱強く促してもらっていたら、大好きな「みかん」をみ・か・んと指さすようになってきました。
ことばで話す方は、まだ、難しいのですが、ひらがなを指さしながら、声を出すことも良い刺激になるようで、発声できる音は増えてきています。今後も、辛抱強く取り組んで行くつもりです。
指さしで自分の気持ちを伝えらるようになったYくんは落ち着いて座っていられるようになり、ことばの課題にもじっくりと取り組めるようになっています。
これからの言語指導
今のところ、誰にでも伝わりそうなのは、サインや発声ではなくて指さしや文字を指さすコミュニケーション方法ですが、まだ、3年生なので、声から言葉へつなげる方法も探して行きます。
Yくんは生の音楽を聴くのが好きですが、譜面のタイトルのひらがなを覚えたようで、タイトルを指さしてリクエストしてくれます。
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