妖怪イヌジマの活動20周年の節目に
個展を開催いたします。
【個展のお知らせ】
妖怪イヌジマ 『十二神将』
https://yoko14145.com/
日程: 2026年 8月18日(火) 〜2026年 8月29日(土)
会場:
Gallery うぇすと 東京都中央区銀座1丁目3−3 銀座西ビルヂング B1F https://hamachi-uesuto.jp/
妖怪イヌジマ 『十二神将』
2005年に初めて瀬戸内海の犬島を訪れ、
里帰りを主題として『妖怪イヌジマ』の活動を始めて20年目を迎える。
活動以前から所在なき自己の中にあった“存在への問い”と模索、
それらと深く共鳴する歴史を持つ島に、
人は何故どこへ帰るのか?と考え立ち止まり
島へと想いを誘う妖怪としての作品を介して、私自身も導かれてきた。
年に一度の犬石祭に合わせ10年継続した島の上陸が制限されることとなったコロナ禍を境に、
どこに何故帰るのか?が再び色濃く浮き上がった。
郷土誌に記された家系図との巡りあわせを契機に、
歩みは“概念の里”への里帰りへと変容を遂げていった。
それは、日本の歴史の変遷の肌感触と同時に、
犬島の 戌-イヌ- とは 戎-エビス-であり
神話上の犬石と先祖の間に横たわる深いつながりを私に知らせた。
伝承の物語と表現の力の交錯で、現在の世界と個との関係性が、
歴史の相対化によってあらわにされていく。
八咫烏としての国司で陰陽師であった先祖が、
歴史の中の氏族の役割を後世に伝えるために
旧邸内社に千年前の毘沙門天を秘仏として遺した。
社が開かれその姿を拝めるのは、犬石祭と同じく年に一度。
実存の証明は、常にあることのみではなく、
点滅的だからこそ、そこに強固な存在として立ち現れる。
ものごとには表と裏がある。
記紀の古来から、外へ向けての相貌と、内へ向けての自己を、
使い分けて構造化してきたのが日本という国であり、
外と内とは、異なる者同士の境界の設計でもあったのだ。
現代の暦の裏側に隠された陰陽道の神々と、表舞台の日本神話の神々。
月と太陽という別の姿でありながら転写的関係性の中に、先祖が伝えんとした意志 が浮かび上がる。
それは時空を超えた 信念との接触にほかならない。
私たちは何者であり、存在とは何によって規定されるのか。
幾たびの概念の里帰りという私的な回帰から、その原郷と歴史の深層へ立ち戻ることは、
個と自国という共同幻想の根源的な構造を考える必然的で終わりのない道行なのではないか。
石井葉子 2026.8.14
