子どもたちが巣立ってから、
家の中が驚くほど静かになりました。
朝はそれぞれのペースで動き、
夜には夫と二人で夕食を囲む。
長年一緒に暮らしてきたから、
無理に話さなくても気まずくはありません。
ある程度は言わずとも通じるから
「そういえば、このまえのあれさ…」
「あぁ。あれね。どうした?」
「いつものあそこに入れておいたから。」
「あぁ。いつものあそこにあれが入ってるのね。」
みたいに、
「あれ」だけで話も通じます。(笑)
同じ人、いないかしら。
だから、
夫は、私にとって大切な家族で、
一番長く人生を一緒に歩いてきた人。
だから、不満があるわけではないんです。
でも…。
夕食を食べ終わると、
二人でテレビを眺める。
たまに「この俳優さん、最近よく見るね」
なんて一言二言話して、
また静かになる。
しばらくすると、
夫は「おやすみ」と寝室へ。
私は一人、リビングに残ります。
そんな夜が増えました。
昔は毎日が慌ただしくて、
「一人になりたい」と思うこともありました。
でも今は、
その静けさが少し寂しい。
というより…。
毎日が昨日の続きのように感じるんです。
子どもたちは新しい街へ。
新しい仕事。
新しい友達。
写真が送られてくるたびに、
「楽しそうでよかった」と心から思います。
でも、その写真を見終えたあと、
ふと自分の毎日を見渡すと、
昨日と同じリビング。
昨日と同じ夕食。
昨日と同じテレビ。
そして、明日もきっと同じ一日。
そんな気がしてしまう。
もちろん、それが悪いわけではありません。
穏やかな毎日。
大きな心配もない。
昔の私なら、「こんな生活ができたら幸せ」と思っていたかもしれません。
でも今は、心のどこかで思うんです。
「私は、このまま人生を終えていくのかな。」
そんなことを考える自分が嫌で、
「考えすぎかな」と打ち消そうとする。
だけど、夜になるとまた同じことを考えてしまう。
夫が悪いわけじゃない。
子どもたちが巣立ったことを後悔しているわけでもない。
ただ…。
私だけ、
時間が止まってしまったような
気がする。
そんな感覚になる日があります。