ご訪問ありがとうございます。

数秘リーディングカウンセラーの

辻口陽子です。

 

引き続き「私のライフ・ストーリー」を

お楽しみください。

 

 

【辻口陽子ライフ・ストーリー】 ③

(インタビュー・文:小川志津子

 

《本心を話しても、人は離れていかないよ》

 

幼い頃を、彼女は児童養護施設で過ごしている。

1歳を過ぎた頃にベビーホームに入り、

高校を卒業するまで、そこで育った。

  

「男の子よりも強かったですね。

 ふざけてちょっかい出してくるのを、

 一網打尽に蹴散らしてました(笑)」

  

けれど思春期、自我が芽生えだすと、

自分の出自のことが気になってくる。

 

「学校ではそのことをずっと隠してました。

 今思うと、

   バレてたと思うんですけどね(笑)」

  

明るく声を掛け合う友だちはできても、

何らかのプロテクターが発動して、

心の奥までひらききることをしなかった。

 

「でも高校生になったら、

   2つ上の先輩に言われたんですよ。

『陽子は友だちがいっぱいいるのに、

   自分はその子たちのことを友だちだとは、

   思ってないよね?』って。

『本当の友だちなら、

   どんな悩みを打ち明けても、

    離れていくことはないよ』って」

  

自分だけしか知らないはずの、

心の奥のプロテクターに、

気づいている人がいる。

 

「みんなにはわからないと思っていたのは

    私だけで、

 実はバレバレだったんでしょうね(笑)。

 大人になってからも、言われましたもん。

 数秘の先生に『心の壁が厚い』って」

  

今のところ、そんなふうには全然見えない。

けれどこういう人が発動させる

「プロテクター」の類が、

ちょっとやそっとで見抜けるものではないことを、だいたいの大人は知っている。

  

あの窓、開いてるな。と思って侵入を試みる。

けれど近づくと、網戸が閉まっていたりする。

声は聞こえる。でも入れない。

そんなことばかりだ。

  

「大人になってから、中学の時の友だちに、

 道でばったり会ったことがあって。

『友だちできた?』って聞いてくるから、

『へ? なんで?』って聞き返したら、

『私はあなたと友だちになりたかったのに、

 あなたはそうさせてくれなかったから』って。

『陽子ちゃんと友だちになりたかった人は、

 あの頃、きっといっぱいいたよ』って」

 

心のガードは堅かったけれど、

まわりに、人がいっぱいいる。

本当のところは寂しんぼだったのではないかと、

ちょっとだけ推測してみる。だって、

本当に人を遮断したい人は、

ひとりになりたがるだろうから。

  

「そうかも。ひとりでは、いたくなかったな。

 でも、群れるのも好きじゃないので。

 みんなといるけど、ひとりでもある。

 今もそのスタイルは

    変わらないかもしれないですね。

 それでも、理解してくれてた人がいる。

 そのことに最近、

    中学の同窓会で気付かされたんですよ」

  

《自分で生きていく、ということ》

  

高校卒業と共に施設を出るため、

「働く」という新概念が彼女の身に降りかかる。

 

「最初、

    ケースワーカーになりたいって思ったんです。

 自分がケアしてもらえなかったことを

    ケアすることで、

 自分みたいに寂しい思いをする子どもが、

 ひとりでも少なくなればいいなと思って。

 あと、お母さんたちをなんとかしたいと

    思いましたね。

 愛情がわからない人が

    育児しなきゃいけない人の人生って、

 なかなか難しいだろうと思ったんですよ。

 そういう心の葛藤に寄り添えたら、

 人生、もっと豊かになるのかなあと

    思ったら、先生に、

 『陽子はそういうの、似合わないよ』って

     言われて」

  

大人がそう言うと、人生経験の少ない子どもは、

「そんなもんかな!」って思ってしまう。

  

「たくさんの支援やご縁のおかげで、

 就職口を見つけて、

    夜に大学に通うことにもなって。

 ひとつ上の先輩が、

    設計関係の高校に通っていて、

 図面を描いているのを見たんですね。

 もともと美術が好きで、

    何かを描くことが好きだったから

  『私もそれやりたい!』って思って。

 だから大学では、

    建築関係の勉強をしてました」

  

卒業制作では、自らが育った児童養護施設をテーマにした。

  

「もっと、家庭的な匂いのする空間にしたくて。

 だって、食事も洗濯もしてもらえて、

 生活というものの仕組みもわからないまま、

 外の世界にポンとほうり出されるなんて、

 私たちにいったい何ができるのかなと思って」

  

彼女が見ていたのは建築物そのものよりも、

そこに暮らす人たちの姿だ。

 

「でも現実は、どうあがいても、

 児童養護施設の設計の仕事には

    たどりつかないわけですよ。

 そもそも施設数が少ないわけだから。

 男社会だし、この中でやり抜くには、

    本当にすごい信念がないと通用しない。

 私、そこまで信念、ない!って思って(笑)」

  

でも改めて思い返してみると、

心に浮かんだ「やりたい」を、

彼女はだいたい、叶えている。

 

「ほんとですね。『やりたい』ものを、

 『やりたい』っていうだけに

   とどまらせることは、

 あまりなかったかな。

    形になるならないは別として」

  

彼女にはもうひとつ、

切実な「やりたい」があった。

家族を持つこと、である。

  

「20歳の時に再会した小学校の同級生と、

 25歳の時に結婚しました。

 もちろん、施設時代を知ってる人」

  

おおお。

決め手は?

 

「誠実さしかない!

 とにかく、

    離婚しない人と結婚したいっていうのが、

 まず、第一条件でしたね」

  

結婚するのは怖い、みたいな思いは?

 

「それより、自分の居場所が欲しかった。

 自分の、確たる、帰る場所が欲しかった。

 結婚より家庭に憧れてたし、

 この人ならちゃんとした

    家族が作れそうだと思って」

 

人を裏切るということが、

あの人には絶対にありえないと

きっぱり言い切る。

じゃあ、かつて欲しかったものを、

今、手の中に得ていると思う?

 

「そうねえ……子どもと主人が、

 きゃっきゃ言いながら遊んでるのを

    見るのが好き。

 私は、そこに交じるんじゃなくて、

 その様子を台所から眺めてる。

 これはすごいことだ、って思いますね。

 私はここに立つことができたんだな!って」

  

あーー。

ちょっと泣いてしまう。

 

「4人が並んで歩いてる後ろ姿を、

 眺めながら歩くのも好きだなあ。

 つかず離れずの距離感で」

  

やはり彼女は、客観の人だ。

  

「やんちゃ盛りで大騒ぎだけどね(笑)。

 誰かがピー!と泣けば、誰かがキー!と怒る。

『いつまで騒いでんの!』の繰り返しですよ。

 毎日が修学旅行みたい(笑)」

  

《「あり方」が変わると世界が変わる》

 

「数秘に出会った時はね、

 長男の子育てに

    悩んでいた時期だったんですよ」

 

ふいに彼女は、次の扉をけろりと開く。

聞き手はただただ、耳を傾ける。

 

「学校に行けないくらい、

   精神的に追い詰められてた。

 一番上だから、我慢していることも

   いっぱいあったんですね。

 彼はもっともっと愛情を欲していたけれど、

 私は下の子たちの子育てで、

    応える余裕がなかった。

 だからわりと、

    突き放す感じでいたんですよね。

 感受性が強いし、感じやすいのに大胆で、

 向き合い方がわからなかった」

 

深く関わることができずにいた、お兄ちゃん。

問題行動が止まらなくて、お母さんは、

ただただキリキリするばかりだった。

  

「私は世間体を気にして、

 学校に行かせることが絶対的義務!

   みたいに思っていたから、

 感情的にカーッ!となって、正直なところ、

 バシン!って手が出ちゃったりもしてました。

 でも、人には人の数だけ世界観があって、

 みんな違う

    景色を見ているんだっていうことを、

 数秘が教えてくれたんですよね」

  

その人の資質、あり様。

物事の、そして世界のとらえ方。 

 

「この人が見てる世界はどんな風なんだろう?

 っていうことに、

    意識が行くようになりました。

 彼はまだ表現力がつたないから、

 私がそれを、引き出すようにして。

 私に余裕ができてくると、彼も、

 彼の世界を、

    彼の表現で伝えようとしてくれる。

 子どもにもわかるんでしょうね。

『今のこの人に話したら、

   通じるだろうな』って」

  

ハハが変わるとムスコも変わる。

  

「まだまだ全然途中ですよ。

 これからも道は長いんだけど、

 でも彼の倫理観とか、不満とか、

    訴えたいこととか、

 そういうものを受けとるという過程を、

 今、歩いてる気がする。

 一緒に住んでる親子でも、

 世界観はこんなに違うんだということを、

 彼が身をもって、見せてくれているから」

  

かつては、ガッコーに行きなさい行きなさいと声を荒らげていた。

今は、集団行動が苦手なら、別の発露を探そうと思う。

  

「そうするとね、勝手に行くの、学校に(笑)」

  

世界をとらえる方法を得たからといって、

トラブルが起きなくなるわけでも、

上手に生きられるようになるわけでもない。

 

きっとこれからも、いろんな想定外が、

いくつも巻き起こるのだろう。

 

でも彼女には、起きた出来事そのものよりも、

その本質を見つめる眼差しが備わっている。

 

「そのためのツールが、

 たまたま数秘だった。っていうだけなのかも。

 それを知らなかったら悲惨だったろうな。

 思うようにいかない、

   思うようにしたい!って」

 

うん。そもそも、

思うようにしたい、って思うからいけないんだと思う!

  

「そうそう。思うようになんか、ならんのさ(笑)。

 ということは、

    自分のあり方がすべてだなあと」

  

彼女はおそらく、

起きる出来事や目の前のギフトについて、

よりごのみをしないのだろうと思う。

出会い、別れ、悲しみ、喜び。

起きることを、そのまま受けとる。

  

「だからね、

    自分の人生に制限をかけてる人とか、

 自分には可能性がないと思ってる人とか、

 自分の人生を生きずに、

    人に託しちゃってる人とか、

 そういう人たちに、気づいてほしいの。

 自分は、自分の人生を生きるために、

 生まれてきたんだということに」

 

いつからか、

私たちはタメ語を交わし合っている。

そうだね、陽子さん。要は、

「どうしてれば自分は楽しいか」を知ることだ。

 

「そう。本当は、魂に宿っている本道を、

 たどっていけばきっと楽しくなるのね。

 でも『なんで自分だけ』精神だったり、

 ねたみだったりひがみだったり、

 そっちに引っぱられちゃう時もあるでしょ。

 そういう時は、

    自分に可能性がないわけじゃなくて、

 ただ地軸がちょっとだけ

    ズレちゃっただけだよ、

 それを近づけていけばいいだけだよ、

 っていうのが、数秘の肝なのかなあと思う」

 

愛する家族と、数秘というツールを得て、

ちょっともうゴール気分でもいいのではないかと思うけれど、

でも彼女は、さらに自分を磨こうとしている。

自分を支えてくれた数秘を

「教える」というモードに。

  

「今まで話してきたようなことを、

 学識で『知る』ことはできたと思う。

 でも、腑の底まで『理解』するところまでは、

 至ってない気が、どうも、して。

 それを深めるために、

    今私はここに立っているので、

 そのチャレンジを一緒に見届けるべく、

 どうぞ皆さん我がクラスへ!って

    いう感じですね(笑)」

 

 

教える側も、教えられる側も、

共に学び、伸びゆくクラス。

幸福な相乗効果が、

きっと起きまくるに違いない。

 

(2017/07/26)

 

以上、小川志津子さんによる、ライフ・ストーリーでした。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

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まだまだ間に合います。

 

最後までありがとうございます音譜