masculinist

 masculinist は男権主義者・男性優位主義者でありfeminist フェミニストとは対局の語。

50年以上前にフェミニストという言葉を初めて耳にしたとき、私は女性を大切にする男性のことをいう表現だと勘違いした。元来フェミニズムは女性解放と性差別の撤廃が基本になっていて、近来は自分らしく生きることにまで語義が拡大されているようだ。男性にも女性にもフェミニストという言葉は使える。

 

 2024年2月16日のNHKテレビ「ドキュランドへようこそ」という番組でアメリカの俳優ジョニー・デップの裁判を取り上げていた。彼と彼の妻アンバー・ハードの、いわゆる離婚裁判だ。有名俳優というので世間を騒がせたようだが、妻は夫が暴力をふるう、夫は妻も暴力をふるうという泥沼裁判である。夫婦というのはどちらか一方だけが悪いとは私は思わないが、特筆すべきはSNSで妻のアンバーに対する一般の人たちの嫌がらせが執拗に有り、フェイク画像や書き込みがあふれ、それは目を覆いたくなるような一方的に彼女を悪者にしている内容であった。結局敏腕弁護士の力もあり、ジョニー・デップが勝利し、心に傷を負ったアンバーはスペインで暮らすことを選択したという内容の番組だった。驚いたのはアメリカの同性である女性たちの熾烈な嫌がらせだった。これはフランスのテレビ局が主に作成した番組であった。

 またこのころ女性に対するオンラインハラスメントについて本を出版したばかりだったニナ・ジャンコウイッツはバイデン政権でネット上の偽情報や嫌がらせ対策を協議する委員会の委員長に就任したが、その役職のせいでオンライン攻撃にさらされ、政治的リスクを恐れ、わずか3週間で委員会の活動を休止した。政府もソーシャルメデイア運営側も女性蔑視や、女性憎悪をあおるオンライン攻撃を取り締まることは難しいらしい。

 今回初めて知った英語、こういう行為をdoxxingというらしい。

 

 ちなみにジェンダー平等が叫ばれる現在ジェンダーギャップ指数(平たく言えば男女平等指数)は1位アイスランド2位ノルウエー3位フィンランド4位ニュージーランド。フランスは15位、米国は27位。日本は過去最低の125位と2023年の調査では出ている。

国際婦人デー(毎年3月8日)には、今年パリのエッフェル塔に「私たち女性の体は私たちのもの」とライトアップされたそう。

 

 また2004年にフェイスブックを発明し、現在はメタのCEOであるマーク・ザッカーバーグなど大手SNS5社を2024年1月31日に召喚し、アメリカ公聴会で、SNS上で被害に遭って自殺した子どもの親たちに謝罪させたというニュースがテレビやニューヨークタイムズで報道された。

世界中の人々が実に便利につながることが可能になったSNS。凶器にもなりうるこの

道具の課題は実に大きい。

かつてオスカー・ワイルドが言った皮肉がジョニー・デップの結婚にあてはまる。

Marriage is the best way to end a beautiful friendship.(結婚は美しい友情に終止符をうつ最高の方法である。