long

  一番頭に浮かぶ意味は、形容詞の(長い)だと思うが、実はlong には動詞がある。

自動詞で、(強く望む)という意味があり、for をつけて long for で(~を切望する)という意味になる。40年くらい前だったか、Dean Martin ディーン・マーティンというアメリカの歌手が、My heart cries for you という題名の歌をヒットさせた。

 

 My heart cries for you , sighs for you, dies for you と韻を踏み、cry for~(~を泣きたいほど切望する) sigh for ~( ~を想い焦がれる sigh は、ため息をつくという動詞) die for~~を死ぬほど求める)つまり「あなたに恋焦がれている」と畳み掛けて歌っているのだ。そして、それに続く詞が

And my arms long for you. Please come back to me. (そして私の腕はあなたを切望している。つまりあなたをこの腕に抱きしめたい。僕のところに戻ってきてくれ、と懇願している歌だ。

 

 恋に夢中な時は、男も女も、まさにこの歌の気持ちだと思う。

しかし、今年流行った“蛙化現象”という言葉の意味を聞くと、何かのきっかけで、す~っと気持ちが冷めることを言うのだという。好きだ好きだと思っている気持ちが、あっという間に冷めるということを聞くと、おちおち、または安心して恋愛などしていられないのでは?と老婆心ながら思う。それでなくとも、好きだと思いつめて相手を追うとストーカーと認定されてしまう恐れもある。もちろん本物のストーカーは怖いが、今の時代は、セクハラとすぐ訴えられる危惧もある。特に男性は恋愛に臆病にならざるを得ないのでは?

 

 私が今、long for を使うなら、 I long for world peace. 世界平和を切望する。今、ガザでは9000人近い人が亡くなり、子どもは4000人近く亡くなった。戦争では誰も幸せにはならないのに。

最近はガザのニュースばかり耳にするが、ウクライナだってそうだ。小さな男の子が「僕たちは何も悪いことをしていないのに!」と泣きながら訴えていた。心が張り裂ける思いで聞く。

 

 今、平和憲法を改悪し、憲法九条を変更し、日本も戦争ができる国にしようと岸田内閣が躍起となっている。世界で唯一の被爆国である日本が、宝物にしてきた恒久平和をうたった九条を改悪し、日本を世界第三位の軍事大国に押し上げようと、敵基地攻撃能力などというものを配備した。逆に狙われて、戦争に突入する危険性を自ら招いている混迷の日本。

 

カザルスが作曲したカタロニア民謡“鳥の歌”を聴きながら、これを書いている。

カザルスは、カタロニアの鳥は(peace)ピースピースと鳴くと言った。

 鳥が()くピースピースとウクライナ ガザの空にも焼け焦げし木にも