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さて、婚礼の日。
オオヤマツミが二人の娘を引き連れて、ニニギくんの仮住まいにやってきた。
天孫が降臨するとあって、大慌てでしつらえた仮の宿。
広い掘立て小屋、といった体(てい)である。

こんなところに住むのかしら…

一抹の不安が拭えないサクヤヒメをおもんばかってか、

私たちには広すぎる邸(やしき)ですね。

と言うイワナガヒメ。

ちょっとやそっとのことでは動じないヒメなのだった。
そーゆーとこは、父のオオヤマツミにとてもよく似ていた。

サクヤヒメの美しさは母親のカヤノヒメ譲りである。
姉妹でまったく真逆のタイプのイワナガヒメとサクヤヒメ。
それがニニギくんと出会ったとき、どうなるか、二人は知る由もなかった。

続く


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