(写真は明石久実さんです)
【出雲の国譲り】
古代日本史において、日本神話にもなっている出雲の国譲りは、のちの世の、大政奉還にも通じる偉大なる決断だった。
出雲の国は、九州にあったヤマトの国より出奔したスサノオのミコトが建国され、オオクニヌシへと受け継がれていった。
ヤマトの国は、女王アマテラスの治めし国。
アマテラスは、巫女能力があり、天上界の指導を受けながら、神聖政治を行っていた。
天上界より、日本を統治する使命を受け、ヤマトの国は、九州より西日本に進出する。
だが、そこには、オオクニヌシの治めし出雲の国があった。
ヤマトの国は、出雲の国に使者を送り、国譲りをせまった。
このあたりは、黒船が来航して、幕府に開国をせまったのと似ている。
姿、形は違えども、歴史は繰り返すもの。
オオクニヌシは、ここで大きな決断をする。
建国の父であるスサノオの故郷であるヤマトの国に政権を譲り、自らは引退すると。
これにより、ヤマトの国と、出雲の国の全面衝突は回避された。
ヤマトの国は、出雲を西日本の拠点に、近畿への進出を進めていくのである。
オオクニヌシの偉業は、戦争ではなく、平和を選択したことにある。
幕末においても、徳川慶喜が同様の選択をし、維新軍は幕府と全面戦争する事態を避けることができた。
世界史にも珍しい無血革命がなったのだ。
(実際には戊辰戦争で多くの血が流されたが、それでも、全面戦争になることに比べれば、被害は少なく済んだと言えよう。)
このように、為政者が政権に固執することなく、大きな視野のもとで戦争よりも平和を選択した史実が、日本には二度もあるのである。
一度めは神話で、二度めは近代史として、記録されている。
為政者たるもの、時には大局的な観点から決断する勇気を持っていただきたいものだ。
既得権益に固執するなど、為政者にあるまじきこと。
為政者は、国民を代表して国を治めるのだから、常に国民のために、何が最適かを考慮せねばならない。
(なお、神話の解釈については、一つの仮説をもとに書いていますので、歴史的真実かどうかは定かではありません。物語としてお読みください。)
よっくる