「鉄道員(ぽっぽや)」を観た。
高倉健さんの名演が心にしみる映画。
生まれたばかりの娘を亡くし、妻にも先立たれた鉄道員が定年まぎわに出会った謎の少女。
「雪女」のオマージュされたストーリーは日本人の心の琴線に触れるものがあるのだろう。
北海道が物語の舞台だが、東北や北陸の雪国でも成り立つストーリー。
謎の少女はスピリットとして主人公の前に現れた。
最後にその正体に気づき、男泣きするシーンは心を揺さぶられた。
私が書く龍の物語では「人間はすぐに死ぬ」という龍のセリフが繰り返される。
人の命は永遠の生命を持つ龍から見ると、はかなく映るのだ。
しかし、龍が見ているのは人間の肉体生命であって、魂ではない。
最後には龍も魂が永遠であることに歓喜するのだが、
この「鉄道員」にもそのことが隠されている。
最後のシーンを観て、むなしく感じるか、ああ、よかったねと思うか。
人それぞれだと思うが、霊的世界観を内包した本作が日本アカデミー賞に輝いたところを見ると、
日本人も心の奥底ではわかっているんじゃないのかな?と夢想するのである。