【何があっても】

  

「なにがあっても、

しぜんたい〜♬

どんなときでも

しぜんたい〜♬」

  

調子っぱずれな歌が

曲がり角の向こうから

聞こえてくる。

  

今日も一日、

仕事でヘトヘトに疲れて

帰ってきた僕に

一服の清涼剤のような

能天気な歌声。

  

時々、聞こえてくるのだけど、

その正体を見たことがない。

  

今日こそは、と

勇んで僕は

曲がり角の向こうに

走りこんだ。

  

とたん!

  

ざあっと、

つむじ風が吹いて、

夏色の空に

白い帽子が

舞い上がっていった。

  

…ちぇっ、また、逃げられた。

  

僕は残念に思った。 

  

そんな僕の耳の奥に

いつもの調子っぱずれな歌が

いつまでも

鳴り響いていた。

  

    よっくるo(^▽^)o