アースダイバーみと
第九話

湿原を渡ると、白い岩肌の崖から海に出た。
翼竜は急降下すると海の中に飛び込んだ!
あぶくがぶくぶくとたち、私が目を凝らすと、色とりどりの魚たちが泳いでいた。
古代魚と思われる、見たこともないような大型の魚もいた。
なにか映像で見ている感じがして、怖くなかった。

(地球の美しさを…)

私の脳裏に、そんな言葉が流れていった。

私は地球の美しさを体験しているのだろうか。


翼竜は、海の中では水龍に変わり、みとを背中に乗せて、海面を渡るのだった。

キラキラした太陽の光が海面に反射して、海もキラキラと輝いている。

地球って、こんなにきれいなんだ。

水龍の背中に乗り、海面をかけめぐる気持ちよさは、ジェットコースターの比ではない。

体にかかる波しぶきが肌に心地よい。

五感をフル動員して感じることのできるバーチャルリアリティの世界。
それがアースダイバーの魅力といってもいいだろう。

これが世の中に普及したら、現実世界に帰りたくなくなる人が続出しそうだな。

わたし、帰りたくなくなるのが怖くなっちゃって、この快適な体験を早々に切り上げることにしたんだ。


第九話 終わり