【一寸法師よ、永遠に】

  

(前作【帰ってきた一寸法師】のリンク先はこちら)

http://ameblo.jp/yokkurutani/entry-12259841968.html

 

一寸法師は姫を連れて、宇宙ステーションをあとにしました。

UFOに乗って地球へと戻ったのです。

地球人サイズに戻ると、盗賊から戦利品として奪った宝物をお金に変えて、貧しい人たちに配りました。

貧しい人たちはとても喜びました。

  

それから姫の家に行き、

「お姫様を僕に下さい」

と両親にプロポーズしました。

ずっと行動をともにするうちに、二人の間には地球人と宇宙人の垣根を越えた愛が芽生えたのでした。

両親もたくましい若者からの申し出を受け入れてくれました。

都では一寸法師の英雄談が広まっていたので、誇らしい気分でした。

  

一寸法師は姫の部屋に毎晩通うようになり、愛し合ったので、すぐに子供を授かりました。

(おいおい、はえーよ、いっすん)

  

そうしてなかよく暮らしていたのですが、一寸法師の体は地球に完全に適応できていませんでした。

もともと小さい体だったので、地球の重力に耐えられなかったのです。

  

ある日、一寸法師が家のどこにもいません。

姫が心配して、あちこち探し回ると、ひからびた一寸法師の小さな体を見つけました。

姫は一寸法師の体を手のひらにおくと、おいおいと泣きました。

その姫の脳裏に一寸法師の声が響いてきました。

  

「姫、泣くのはおよし。

私の肉体は朽ちても、

私はほらこうして元気でいますよ。

私は肉体にとどまれなくなって、肉体の外に出ていきましたが、私というエナジーは宇宙の神様の大いなるエナジーの一部として存在し続けるのです。

だから、私に会いたくなったら、空を見上げてごらん。

あなたの心の目には私の笑顔がきっと見えるでしょう。

私は夜空の星となり、あなたがたの人生を見守ります。

そして、時が来たら、お迎えに参上します。

私の今いる場所が、あなたがもといた場所なのですから。

道に迷わぬようにお連れしますよ。

それまで地球での生活を楽しんで下さい。」

  

一寸法師のメッセージが終わると、カサカサに乾いた一寸法師の亡骸は風に飛ばされ、散り散りになってしまいました。

そして、姫が空を見上げると、一寸法師の笑っているような形の雲が、いつまでも姫の頭上に現れて消えないのでした。

  

さらば、一寸法師。

また会う日まで。

  

どっとはらい