【スピリチュアルな?一寸法師】

 

身の丈一寸の一寸法師

お椀型のUFOに乗って

川を上っていった。

 

都では悪い鬼のような悪党が

世間を騒がせていたが、悪党の強さにみな、なすすべがなかった。

 

一寸法師は

「このままだと悪党の天下になってしまうかもしれないな。

そんなことになったら大変だ。

ここはひとつ、なんとかしよう。」

と勇んで悪党のアジトに乗り込んだ。

 

「たのもーう!

これなるは一寸法師、ただ今、見参!

悪党ども、いざ尋常に勝負せよ!」

 

悪党はキョロキョロとあたりを見回すが、

誰もいない。

ただ大声だけが悪党のアジトの中を鳴り響く。

 

一寸法師は悪党どもが自分に気づかないのに業を煮やし、UFOに乗り込んで、火炎放射やら、レーザービームやら、搭載されている武器をめったやたらにぶちかます。

これにはさすがの悪党どもも怯えて、

ほうほうの体で都から逃げ出した。

 

「そうだ、このUFOには、いざという時のために体を大きくする装置も積んでるんだった。いつ使うんだ? 今でしょう!」

一人でボケとツッコミを兼ねながら、

装置を作動し、巨大化する一寸法師。

 

「これじゃ一寸法師じゃなくて、

一メートル法師だよ」

 

そんなことを言いながら、悪党のアジトを物色する法師。

 

「来たからには手ぶらでは帰れないからなあ」

 

などと言いながら、悪党の残した金銀財宝をUFOに詰め込む。

(もちろん、装置を使ってサイズを小さくしているよ)

 

「ほどほどにもらっておけば、まあいいか」

 

そう一句詠むと、そそくさと立ち去ろうとしたが、なにやら大きなつづらがガタガタと音を立てているのに気がついた。

 

「おや、なんだろう、あのつづらは。

何か生き物でもいるのかな」

 

少し警戒しながら、つづらのふたをエイと開けると、中からかわいい姫が現れた。

縄で縛られ、猿ぐつわで口を封じられた姫を見て、かわいそうに思った法師は、

 

「大丈夫ですか。ほら、もう大丈夫。おっかない悪党はこの一寸法師様が追っ払いましたから、ご安心」

 

そう言って、姫の猿ぐつわをとり、縄をほどいてやった。

 

姫は大層喜んで、

 

「ありがとうございます、一寸法師様。

私は都の貴族の娘です。

悪党にさらわれて遠い外国に売り飛ばされるところを助けて下さって、本当にうれしいわ。

どうすればお礼ができるかわからないけど、私を家まで送って下さいませんか?

親がお礼をしてくれると思います。」

 

そう言うので、このまま金銀財宝を抱えてトンズラしようと思っていた一寸法師は困ってしまった。

 

「お姫様、あなたをおうちに送り届けるのは構わないが、あいにく私の乗り物は小さくてね 、体を小さくしないと乗れないんだよ。」

 

「え、そんなことできるのですか。すごいですね。私も小さくなれるのかしら?」

 

「うん、なれると思うよ。やってみるかい?」

 

「はい、お願いします!」

 

姫の申し出を受けて、一寸法師はUFOに搭載されている装置を作動させた。

するとあら不思議、二人の体はみるみる小さくなってしまうのだった。

 

一寸法師に戻った一寸法師は一寸になった姫に

 

「こうなってしまったのも何かのご縁、あなたを私の星にご招待しよう。

家に送るのはそれからでもいいかな?」

 

と聞いた。

 

姫は即座に

 

「はい、お願いします!」

 

と答えた。

 

気をよくした一寸法師はUFOを操縦し、姫を乗せたまま宇宙の彼方に飛び去るのだった。

 

おーい、それじゃ拉致になってしまうぞ!

どこに行くんだ、いっすーん!

 

続く?おわり?

 

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